前妻が寝ていたベッドで眠る女。20歳年上のバツイチ男と結婚した、セレブ妻の後悔

見た目は若くても、やっぱり50歳なんだって思う


「もともと、デートの場所も旅行先も何もかもヒデちゃんが決めていました。彼の方が20歳も年上だし、当然費用もすべて彼が出す。私が口を出すまでもなく素敵なところを選んでくれるから、それで何の不満もなかったんです。だけど…」

茜は、さらに続けた。

「批判を承知で、正直に言いますね。贅沢って、慣れるんですよ。最初のうちは素敵なところに行けるだけで嬉しいから、何の不満もない。でも時間が経つにつれて気づいてしまうんです。彼は別に、私を喜ばせたいんじゃない。自分が楽しみたいだけ。その証拠に、私の予定も意見も、何もかも無視されるんですよ」

夫は美食家で、予約困難で知られる名店を1年先まで抑えている。当然、茜も一緒に連れて行ってもらえるのだが、逆に言えば、それ以外の店には一切、一緒に行ってもらえない。

「インスタグラムとかで話題の新店を見つけて“今度ここ行きたいな”と言ってみても全否定。そんな店大したことないとか、見た目ばかりだとか…一度行ってみなきゃわからないのに。

お買い物も同じです。ブランドバッグを買ってくれるのは有難いんですが、すべてヒデちゃんの趣味。私はまだ30歳だし、遊び心のあるデザインが欲しかったりするんですけど、ベーシックが一番だって、意見なんか聞いてもらえません。

そういう時、ああ…分かり合えないって思ってしまうんです。

それにヒデちゃんって、見た目はすっごく若いんです。さすが美容クリニックの経営者っていうか。肌なんか艶々だし、お腹も出てないし。でもやっぱり思考回路や価値観は年相応というか…新しいものを受け入れようとしない、人の意見を聞かない頑固さを見るにつけ、やっぱ50歳なんだなって思っちゃいます」

結婚してからこの3年、茜の中に蓄積された小さな不満が、いよいよ爆発寸前のところまで到達しているようだ。

「恵まれた環境にいることは理解しています。だから我慢しようって言い聞かせてきました。でも言っても彼もまだ50歳。結婚生活だって、この先30年以上は続くでしょう…?このままずっと我慢し続ける人生が私にとって本当に幸せなのかどうか…正直悩んでいます」

どうやら茜の頭にはかすかに、別の人生の選択肢がチラついているらしい。

というのも、30歳を過ぎてから、これまでまったく興味のなかった年下男が魅力的に見えてきたというのだ。

「いえ、別に、他に誰かいるとかそういうわけじゃないですよ。ただ、たまに昔の悪友がお酒の場に誘ってくれることがあって。そこで出会う年下の男の子たちを見ていると、弾けるような輝きがあるわけです。未来はこれからって感じで、不安定なんだけど、それが逆に羨ましいというか。まあ、無い物ねだりですけどね」

このまま自分を押し殺して結婚生活を続けるのか、鳥かごから飛び出して自由を取り戻し、自立した新たな人生を選ぶのか。

まだ30歳の美貌を持つ妻は今まさに、人生の岐路に立たされている。


▶NEXT:11月2日 土曜更新予定
ー夫の言い分ー20歳年下の妻を嫁にした、50歳バツイチ男の傲慢

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo