「妻には絶対、内緒ですよ」。指輪をしないで食事会に参加したら...31歳男の言い訳

浮かれていた男が、我に返った理由


「呆れた話ですが、現実に返ったのは、夜中に真琴から叩き起こされた時です。最初は妻が何を怒っているのか理解できなくて。それくらい、僕の中で浮気は“大したことのない”出来事だったんですよね。でも妻にとっては違った。当たり前ですが。その怒りを目の当たりにして、僕はようやく事の重大さに気がついたんです」

散々罵られた挙句、妻は翌日、家出までしてしまったそう。

恋人時代から3年以上をずっと一緒に過ごしてきた真琴の存在がなくなると、家の中は驚くほどに静かで、室温が2,3度下がったんじゃないかと思うほど寒々しく感じられたという。

「何度もお伝えしていますが、僕の中で浮気は本当に、ただの出来心で。真琴と別れる気なんか最初からないんです。“これからのこと、考えさせて”なんて捨て台詞を残して家を出て行かれた時は…大げさじゃなく、冷や汗が止まりませんでしたよ」

もう帰ってきてくれないんじゃないか。それを考えるといてもたってもいられず、和也はその晩一睡もできなかった。

「結婚後もお互い自由気ままにやってはいましたが、それは信頼関係があればこそ成り立っていたんですよね。その信頼を壊してはならないと、僕は必死でした。妻からどんなに追及されても嘘をつき通すことができたのは、実際、家を出て行こうとする妻を前にしたら、彼女の存在なんてどうでもよくなったからです」

翌日も和也は仕事どころではなく、妻が帰ってきたらもう一度話がしたいと、定時で仕事を終えて自宅で待機していたそう。

妻からされた驚きの提案とは


「真琴が家に戻ってきてくれて、本当にほっとしました」

妻が家出をしたのはたったの一晩だったのだが、和也はこの世の終わりくらいに落ち込んでいたため、真琴がリビングに立つ姿を見て、安心のあまり涙が出そうなほどだったらしい。

そうして戻ってきた妻が和也に告げたのは、想像もしていなかった、マンション購入の提案だった。

「ええ、マンションを買おうと言われた時は驚きましたよ、もちろん。でもなんとなく、妻の考えがわかったというか…今回のことは大目に見るから、次のステージに進もうって言われているんだな、と。だからすぐに、わかった、と言ったんです」

当時の修羅場を思い出したのだろうか。和也はしばらく沈黙した後で、こんな風に語った。

「もちろんこれは結果論でしかないのですが、あのタイミングでマンション購入を決めたのは最善策だったと思います。家を購入したことで、僕自身も家庭というものに愛着が湧いて、バカなことで失いたくないと思うようになりました。広いバルコニーが気に入った妻にせがまれ、柄にもなくガーデニングなんか始めちゃったりして」

照れたように「あはは」と笑う和也。しかしその表情は、まんざらでもなさそうだ。

「真琴がどこまで考えていたのかはわかりませんが…結局は、妻の方が一枚も二枚も上手だったということでしょうね」

3年目の浮気をきっかけに、むしろ絆を深めたかに見える平井家。

出来心で誘惑に流されはしたものの、この3年目の浮気以降、和也はただの一度も浮ついた行動をしていないという。

浮気発覚というピンチをチャンスに変え、見事に夫をコントロールした妻の手腕に拍手を送りたい。


▶NEXT:10月12日 土曜更新予定
寿退社し、専業主婦になった女を襲った節約地獄…

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