ミーハー女 Vol.2

「私、男運がなくて…」。いつまでたっても幸せになれない女の嘆き


ミハルが見上げた先にあったのは、『阪急メンズ東京』だった。

「俺ね、『阪急メンズ東京』好きなのよ。いろんなものが集まってて、自分の好きなもの探したり、普段とは全く違うテイストのものに挑戦したりしてるうちに、自分がどんどん磨かれてる気になるんだ」

少し恥ずかしそうに話す匠の目は、いつもよりもどこかキラキラしていた。

明るく照らされた店舗の中には、数々のハイブランドと、メンズコスメのカウンターがひしめいている。

真剣に、でもどこか少年のような表情を浮かべながらジャケットを試着する紳士を眺めながら、ミハルは思わずポツリと呟いた。

「なんだか、羨ましいなぁ」

エスカレーターでフロアを移動しながら、ミハルは匠の映画館での一言を思い出した。

「そういえばさっき、『ミハルさんみたいな人にぴったりだから連れて行きたい』って言ってたの、あれってどういうことですか?」

ミハルが聞くと、匠は店内をぐるりと見まわした後、ミハルの顔を正面から見つめて口を開いた。

「一緒にやってた案件の定例で、いつもPR施策のアイデア出ししてたの、覚えてる?」

「覚えてます。いつも私が案出す時、匠さんの顔がちょっと険しかったので…」

「実はね、ミハルさんの出す案、自分にはない新鮮な視点ばっかりで、正直あの時すごい悔しかったんだよね。だからこそ、普段、どんな風に物事を見てるのか知りたくなっちゃって。あと…」

そう言って軽く唇を噛みながら、少し言いにくそうにしながら匠は続けた。

「そんな素敵な視点を持ってる人が、ステータスだけで男の人を選んでるの、ちょっとショックだったんだ」

ーショック?あ、だからさっき、私がステータスで人を見てるって言ったらあんな顔してたってこと…?

「そうだったんだ…。さっき、価値観の押し付けとか、怒ってごめんなさい」

匠の想いを聞いて自分の言動が恥ずかしくなったミハルは、少し小声で匠に謝った。

「あはは、本当だよ!ちゃんとさ、その人がどんな人なのかなって、知りたくなったり興味がもてる人と一緒に過ごしたほうがいいよ。俺がミハルさんに思ったみたいにね」

匠の真っ直ぐな目に吸い込まれそうになったミハルは、思わず目を逸らした。


「せっかくだから夜ご飯一緒に食べられたらって思ったけど、明日朝イチで得意先提案でさ。帰って資料最終チェックしなきゃいけなくて」

駅に向かって歩く中、匠が少し寂しそうに、ミハルに話しかけた。

「大丈夫です。なんか、ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとう。あ、あの商社マンと違って、俺は本当に仕事だからね」

いつもとは少し違う意地悪そうな笑顔で見送る匠に、ミハルは少しドキッとし、匠に急いで別れを告げ、改札に入った。

ミハルが何気なく振り返ると、遠くでは匠が手を振っていた。

笑顔になって手を振り返したミハルは、いつもより足取り軽くホームに向かった。


▶︎NEXT:10月20日 日曜更新予定
「友達は顔で選ぶ」。新たなミーハー女が語る、女の友情。

この記事へのコメント

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No Name
なんでも見下しにかかってくるこの男よりは自分の価値観を持ってるミハルの方がかなり好感持てるんだけど
2019/10/13 05:1799+返信7件
No Name
最初から最後までペラペラな話だった
2019/10/13 06:0599+返信1件
No Name
ん!?これで終わり?
2019/10/13 05:4395
No Name
寂しそうにしすぎだろ笑
2019/10/13 05:2742
No Name
私だったら会話の途中で帰ります。
こんな失礼な男。
しかも言ってることが非常に薄っぺらい。
2019/10/13 10:3225返信6件
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