―30歳-
その節目で人生の決断を迫られたとき、東京に住む大概の女は思い悩む。
いまの手持ちの選択肢で、これからの人生を決めていいのだろうか…?
例えば、『AorB』という2つの選択肢があったとき、人はどうやって一方に決めるのだろうか。
外資系化粧品会社に勤める優愛(ゆあ・29歳)も、ある2つの選択肢で悩んでいた。
東京にいると、無数の選択肢があるようでそうじゃないのかもしれない。そう焦り始める女の、4話完結のショート・ストーリー。
優愛は、どうやって人生の『AorB』を決める?
日記の冒頭には、こう書かれてある。
“29歳で独身。仕事は、化粧品会社のPR。
恵比寿に一人暮らし。
仕事は忙しくても充実していて、
休日は気ままに起きて寝て、食べたいものを食べる。
女友達と海外旅行にだって好きに行くし、
好きなブランドの靴や鞄を、毎年買い足すことだってできる。
そう。いまの生活は、とても充実している。
でもそれだけじゃダメなのかな…?
最近、そう思うようになってきた。
私も早く、人生“ちゃんと”しなきゃ。
だから私は、決めた。
これからの5年後、35歳までの『未来日記』を記す。
『未来日記』にはAorBの2種類がある。
私はどちらかを選び、この未来日記通りに行動する。
それが例えいまの自分の意志と反していたとしても。
でもこれで、いちいち人生に悩むことは不要。
それは悩める29歳の女性にとって、
何て素晴らしいことなんだろうー”
優愛はそこまで書かれてあるAとBの日記を、いったん閉じた。そして予め買っておいた真っ白の2枚のカードに、黒いペンでA、Bとそれぞれ書いた。
優愛は来週、30歳の誕生日を迎える。
その直前になって、優愛の人生を大きく揺り動かす、ある大きな2つの話が舞い込んでいたのだ。
この記事へのコメント
そして結婚か仕事かというのも今時ちょっと古い価値観ですね。
「女はクリスマスケーキ」からほんのちょっと変わっただけ。
もう令和やぞ。