2019.08.21
SPECIAL TALK Vol.59ネットに出合い、衝撃を受けるが起業する気はもともとなかった
金丸:そして東京大学へ。なぜ東大を選んだんですか?
堀江:まずは東京に出ていけば、何かが変わるかもしれないと思ったこと。それから実家は普通の家庭なので、どうせなら堂々とお金を出してもらいたかったからです。
金丸:東大に行くと言って、お金を出し渋る親はそうそういないでしょう。でも、大学にはあまり通わなかったみたいですが。
堀江:すぐに行かなくなっちゃいました。大学3年生の頃には「インターネットが来るな」と感じて、札幌に本社がある企業でバイトしてたんですが、そこでの最初の仕事が、アップルジャパンの日本版ウェブサイトを受注するためのプレゼン。これがインターネットとの出合いです。
金丸:1990年代中盤ですね。まだ世間はインターネットに気づいていなかった。
堀江:世の中的には全然騒がれてないなか、僕だけは注目していたんです(笑)。
金丸:私も、ですよ。ところで、昔から起業しようと思っていたんですか?
堀江:バイトが楽しかったので、ほとんど考えていませんでした。その会社のインターネット事業部は、ほとんど僕が作ったようなものだし、バイトだけど月に50〜60万円はもらっていたのもあって。でも、「ネットスケープの株がすごい。IT系で起業したい」と野村證券を辞めて入社する人がいたり、「うちも上場したらどうのこうの」という話が聞こえてきたりして。
金丸:そういう話に影響を受けたとか?
堀江:いや、全然。ただ、僕をかわいがってくれていたバイト先の社員が本社に戻ることになり、代わりに新しく来た課長が、どうにも話が合わなくて。そのせいで、あんなに楽しかった仕事が、とてつもなくイヤになってしまいました。社長に「この人とはやっていけないんで辞めてもいいですか?」と聞いたら、「給料70万に上げるから残ってくれ」と……。
金丸:そういう話じゃないですよね。
堀江:しかも、仕事を通じて知り合った人たちに不満を漏らしていたら、「独立するんだったら仕事あげるよ」なんて言われて。そんなふうに言ってくれるならと、バイトを続けながら試しに個人で仕事を受けはじめて。
金丸:どうでした?
堀江:稼げました(笑)。こんなに稼げるんだったら会社を作ろうと、1996年に23歳でオン・ザ・エッヂを創業しました。そこから上場までは早かったですね。インターネット・バブルにうまいこと乗って、売上2億6,000万円の会社に時価総額700億円がつきましたから。
金丸:サイバーエージェント、ライブドア、楽天と次々と上場を果たし、ネットバブルはそのあとすぐに弾けました。あの頃の狂乱も、今思い返すと楽しかったですね。あの時代はものすごいスピードだった。私は「変革期には、数分間だけチャンスのドアが開く」と表現しています。戦略があろうとなかろうと、部屋に入った者が勝ち。ドアは短い時間で閉まって、あとからどれだけ実力がある人が入ろうとしても無理なんですよ。だから、「今がそうか」と思ったら、リスクを取って飛び込むことが重要なんです。
突然の逮捕。出所後も事業家として活躍
金丸:さて、あまり話したくはないかもしれませんが、逮捕された頃のお話を。
堀江:いや、まさか逮捕されるとは。どう捉えたらいいのかわからなくて、「おお……、おお……」みたいな、呆然とする感じで。
金丸:いわゆるライブドア事件のあとも、大企業の不祥事は連発しましたが、誰も逮捕されていない。ちょっとバランスを欠いているようにも感じます。しかし、これまでの対談で、いろいろな方の波乱万丈の人生を見てきましたが、堀江さんの波乱万丈さは、間違いなくトップクラスに来ますよ。
堀江:それはあんまり嬉しくないですよ(笑)。
金丸:望んでひどい目に遭いたい人はいないけど、でも一度ひどい目に遭った人って、みんなの共感を呼びやすいし。
堀江:「俺は堀江と違って捕まってねえし」って、ほとんどの人が言えますからね。でも、ほんとに大変でしたよ。あれ以来、心は強くなりましたけど。あれを越えるつらいことって、もう肉体的な拷問くらいしかないんじゃないですか。
金丸:なら、大抵のことは乗り越えられますね(笑)。でもそこから、よく復活しましたね。
堀江:復活、なんですかね。出てきてからは非常に淡々とやってるんですけど。
金丸:先程ロケットの話は出てきましたけど、飲食店の経営はなぜやろうと思ったんですか?
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