東京ワーママ戦線 Vol.4

夫の協力で得られた、ワーママ一夜の自由。酷い仕打ちをされた元カレからの誘いに、揺れる女心

ワーキングマザー。

それは働きながらも子育てをする母親の総称。

独身を謳歌するバリキャリ女子でもなければ、家で夫を待つ専業主婦でもない。

“母親”としてだけでなく、1人の働く女性としてキャリアを積みたい、と願う女性たちのことである。

だがそんな彼女たちに待ち受けるのは、試練ばかり。

青山の専門商社で働く翠(28)は5年間営業として働いた後、1年間の産休育休を取得し、職場に復帰。晴れてワーキングマザーとなった

しかし、同期の凛から喧嘩を売られ、社内で対立し、さらに同期の健太から「お母さんになったね」と言われショックを受ける。そして夫・大樹に「自由な時間がほしい」と八つ当たりをして、夫婦喧嘩になってしまったのだった。


―大樹に申し訳ないことしちゃったかな……。

翌日、翠は出社し仕事をひと段落終えたあと、昨夜の夫婦喧嘩を思い出していた。

「わかったよ。明日は俺がお迎えに行くから、翠は好きにすればいい」

ネクタイを緩めながら大樹がそう口にしたので、翠はその言葉に甘えることにしたのだった。

颯太を迎えに行ったあと、夕ご飯作りにお風呂、歯磨き、寝かしつけ。そのすべて大樹ひとりに任せるのは初めてのことだった。そして何より、慣れない父親と2人きりで颯太が泣いてしまうのではないか、と心配になっていた。

しかし、翠はそんな自分に気づいてハッとする。

―ううん、颯太や大樹にとっても2人の時間を過ごすいい機会だし、少しぐらいお願いしてもバチは当たらないよね。

そう言い聞かせて、またパソコンのキーボードを打ち始めた。今日は時間を気にせずやりたいだけ仕事ができる。仕入先のメーカーに電話をし、午後の発注会議にも出席をした。

―ああ、やっぱり、私、仕事をするのが好きだ。家で過ごす颯太との時間ももちろん大事にしたいけど、外の世界で背筋を伸ばして働くと充実感に満たされていく。

翠がそんな充足感に浸っていると、健太の声が聞こえた。

「凛、ちょっとお願いしたいことがあるんだけど」

彼は凛のデスクまで近寄り、険しい顔で彼女に紙束を差し出していたのだった。

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