「今さら何…!?」音信不通だった男から、1年越しに届いた驚きのLINE

「『実は僕、来月から九州の離島に行くんだ』って彼から衝撃の事実を聞かされたんです」

希は驚きのあまり絶句してしまったという。

しかもそれは出張でも期限付きの話でもなく、しばらくは東京に戻るあてのない転勤だというのだ。

「『付いてきてもらえますか?』って彼に尋ねられて、答えに窮してしまいました。私の覚悟が足りないと言われればそれまでですが、仕事を辞めて彼について行くという選択肢は…正直、私の中にありませんでした。そんな大事なこと、もっと早く言ってよ…!って心の中で叫びました」

しかし逆にこのタイミングで決断を迫られたことは、希にとって、自身の本音を再確認するきっかけとなったと話す。

「私には、結婚より大事なものがあるって気づいたんです。私は仕事を辞める気なんてないし、東京での刺激的な生活も手放したくない。結婚より、そっちの優先順位が上なんです」

「仕事を辞める気はない。あなたに付いて行くことはできない」と、彼女としては“プロポーズをお断りする”認識で、丁重に言葉を選んで本音を伝えたという。

ところが彼の反応はというと、希が拍子抜けするものだった。彼はいともあっさり「わかりました」とだけ答えたというのだ。

「なんか変だな、とは思ったのですが…けれど結局その後、彼の方も転勤準備で忙しかったのか音信不通になったんですよ。あ、東京を離れる日に“これから行ってきます”とLINEが来たけど…それだけです。だから、ああ、終わったんだなって、私の方はそう思っていました。

『勿体なかったかな…』って仕事で嫌なことがあった夜とかは、そんな風に思う瞬間も確かにありましたけど」

関係が深くなる前に終わったこともあり、希の方も「縁がなかったのだ」とすぐさま割り切ったという。

もともと方々に紹介依頼をかけていたから、新たな出会いにも困らなかった。

ところが、つい先日、離島に行ったままずっと音沙汰のなかった彼から、1年ぶりにLINEが届いたというのだ。

しかもその内容というのが、思わず目を疑うものだったという。

“バタバタしてて、ずっと連絡できなくてごめん”と、まず最初に届いたLINEを見た瞬間、希の頭に「?」が浮かんだという。

「別に私、もう連絡とか待ってないけど…?って、思いました」

彼の真意をまるで掴めぬまま、希は次のメッセージを待った。そして、数秒後。彼が送ってきたLINEは、希の理解の範疇を超えるものだったとのこと。

「”実は思ったより早く東京に戻ることになりそうなんだ!” “あと半年くらいかな…長い間、待たせてごめんね”って届いたんです。

…どういう意味?と思いました。1年間も音信不通にしていて、今更何を言っているのかと。待たせてごめんねって…私が彼を今も待っているだなんて、どこをどう解釈したらそんな認識になるんでしょうか?」

当たり障りなく返信しようかとも思ったが、希はあえて既読スルーを決め込んだという。

「女は待つ生き物だなんて、思い込みもいいところです。賞味期限切れの恋に、興味なんかありませんよね」

男にとって恋は引き出しに仕舞うものでいつでも取り出せるらしいが、女は違う。

女にとって、恋は上書き。一度アップデートされたら、もう二度と元には戻らないのである。


▶NEXT:8月10日 土曜更新予定
「金目当ての女はちょっと…」と宣う、自意識過剰男

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo