ロマンスが恋しくて Vol.2

「子ども、産みたい…?」誕生日に絶望感を抱いた独身の女が、“女の本能”で感じた欲求とは

いつの頃からか、「婚活してるの?」とすら聞かれなくなった。

幸せになりたいと願う気持ちは、何歳になっても変わらないのにー。

35歳を過ぎてから「独身」がコンプレックスとなっていく女。婚活歴15年の山崎真理子も、まさにそういう女だった。

顔は悪くない、性格は難なし、仕事は順調。結婚願望は今もある。

—40歳になったって、恋愛も結婚も仕事も、諦めたくない。

これは、年齢を重ねるにつれて“幸せになること”を諦めかけていた女が奮起し、幸せ探しを再スタートする物語である。

大手飲料メーカーでPRの仕事をする真理子は、後輩の「さすがに本気で婚活も出会いも求めてないだろうし」という心ない一言で撃沈し、それをバネに“絶対に幸せを見つける”という決意をする。

ちょうど食事会で出会ったイケメン・早川から誘われ、運命を感じて承諾のLINEを返したのだった。


誕生日が、いつからこんなにも焦燥感に駆りたてられる日になってしまったのだろう。

誕生日前日、そんな言いようのない不安を紛らわすように、真理子は女友達の恵子とザ・リッツ・カールトン東京の『アジュールフォーティーファイブ』で食事をしていた。

明日、7月7日でついに真理子は41歳になるのだ。

弁護士をしている恵子とは、御三家と呼ばれる女子校時代からの同級生だ。

高校時代の友人たちは、それぞれが有名大学を卒業し、キャリアを持ってこの東京を生き抜く自立した女性だったから、かつてはSATCメンバーなんていって4~5人でよく集合していたものだ。でも気付けば、土曜の昼下がりに集合できる女友達は彼女1人になっていた。

「ハッピーバースデー!真理子」

シャンパンで乾杯して、極上のコースがスタートした。

「あ~、この一杯最高。ありがと~!」

気兼ねなく女友達と過ごす時間は、贅沢だ。こういう時間が持てるのは独身の特権だとしみじみ思う。

「ねえ真理子、41歳の抱負とかあるの?」

「うん。今年こそは結婚相手を見つけたい、っていうのが目標かな」

長年、誕生日には、結婚を意識した“決意発表”をしてきた気がするが、ここ1、2年はすっかり覇気をなくしていた。だけど今年は本気だ。

賃貸契約更新の時期がきて独身の長さをあらためて痛感したことや、後輩たちの会話を聞いてしまったのをきっかけに、絶対に幸せになることを決意したこと。最近起こった心境の変化を、真理子は恵子に説明した。

てっきり恵子もノリよく同調してくるものだと思っていたが、意外にも彼女は神妙な面持ちである。

「ねえ、真理子。子供についてはどう考えてる?」

「子供…」

真理子は返答に詰まってしまった。そもそも、30代の頃から結婚に焦ってきた理由のひとつが、子供をどうするかという問題も抱えてきたからだった。子供のいない人生もアリかもしれない、と何度か自分に言い聞かせようとしたけれどー。

真理子は思い切って、恵子にしか話せない本音を伝えることにした。

「正直に言うと、心のどこかでは、やっぱり子供が産みたい、っていう思いがまだ消えてないかも。女の本能なのかな」

すると恵子は、少し声のトーンを落として、真理子に顔を近づける。

「うん、私もそう。いろいろ悩んだけれど、どうしても諦めきれないの。だけど相変わらず恋人もいないし…。それでね、この間“あること”を試してきたのよ…」

前菜に手をつけていた真理子の手が、ピタリと止まった。

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