「彼じゃ物足りない…」元・夫を超える男を探し求める、バツイチ女の苦悩

「きっと彼は、他に女性がいたと思います」

求め合うことのなくなった夫婦は、自然とお互いに干渉し合わなくなったという。

しかしだからと言って、仲が悪いとか殺伐としているわけではなかった。

「元夫は外資系投資銀行勤めで結婚前から多忙でしたが、できる限り二人で休みを合わせて行動を共にしていました。会話もスキンシップもありましたし、傍目にはきっと、仲良し夫婦に見えていたと思います。でも、ワインを開けて甘えてみても温泉旅行を計画しても、夫は全然“その気”になってくれませんでした」

美恵も人妻とはいえ、まだ30歳。大学時代の友人たちの半分はまだ独身で、いわゆるお食事会などで派手に遊んでいる。

「私にも、他の人生があるのかも…って、思うようになってしまったんです。散々悩みましたが、独身の女友達と一緒に男性のいる食事会に顔を出すようになったんです。でも、そういう場で、結婚していることを隠したりはしませんでした。ただ、実際に行ってみると意外だったんですが、結構いるんですよ、こちらが既婚と知っても言い寄ってくる男の人が」

しばらくして美恵は、広告代理店勤務の庄司という男と定期的に会うようになった。

「庄司さんは元夫と同じで3歳年上。しかも彼も、私と同じような悩みを抱えて離婚を考えていたんですよ。あまり人には言えない、同じ悩みを共有している絆みたいなものが二人を近づけたのだと思います」

度々逢瀬を重ねるうち、庄司は美恵に“再婚”をほのめかすようになったと言う。

「美恵が離婚するなら俺も離婚するって言うんですよ。どうして私が先なの、って思いますよね(笑)その時点で彼が本気じゃないことは私もわかっていました。ただ…離婚しても大丈夫かもっていう自信にはなったんです。私を愛してくれる人は他にもいるんだ、って」

結婚3年弱、30歳のタイミングで、美恵は離婚に踏み切った。

「夫は別れたくないと言ってくれました。美恵のことを心から愛してる。俺たちはやり直せるって何度も何度も。そうですね、私たちは仲良しだったし、私も夫のことを嫌いではなかった。私たちの問題は、夫婦関係がないという一点だけ。でもその事実が、私には耐え難かった」

お互いに涙を流しながら話し合いを重ね、ようやく離婚届を提出したのが昨年末のこと。

「結婚って、する時より終わる時の方が大変って言うけど本当ですよ。もう、心身ともに疲れきってしまって…。しばらくは新しい恋愛をする気にもならなかった」

当時の気苦労を思い出したのか、美恵は天を仰ぎ乾いた声で笑う。

ちなみに広告代理店の庄司とはどうなったのかを尋ねると、「ああ、あの男」と失笑混じりに答えてくれた。

「庄司は結局、離婚しませんでしたよ。今でも結婚生活を続けながら他の女と遊んでるんじゃないですかね。“レス”の問題って結局、男と女じゃ深刻度がまるで違うんですよ」

吐き捨てるように言う美恵。しかしそれからしばらくして、彼女にも新たな彼氏ができたという。

「ええ、今年の春からお付き合いを始めた男性がいます。40歳で、滝沢さんっていう方です。都心の高級物件を扱う不動産会社の跡取りで、彼もバツイチ。結婚を前提にと最初から言ってくれているし、再婚相手として申し分ないとは思うのですが…」

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo