モテる男 Vol.7

必要なのは、顔でも性格でもなかった。モテる男の彼女になるための条件とは

そのあと、私たちは何もなかったように仲間の輪に戻った。そしてそれから先、勇輝が私を口説くようなことは二度となかった。

それもそうだ。彼は、自分を振った女を再び追いかけるような男じゃない。

そのうち私は年上ばかりと付き合うようになり、社会人1年目で浦沢と出会った。

大人の男の魅力に惹かれながらも、私は浦沢を最初から信じていなかった。私はそんなに鈍感じゃない。確信したのは後になってからだが、家庭のある男の気配は感じ取っていた。

最初から信じず、わかったふりをして、聞き分けの良い女を演じた。そうしてずるずると現在に至る、というわけ。

しかし今になって思うのだ。

もし私が摩季のようになれていたら。傷つくことを恐れず、男を信じることができていたなら…そうすれば浦沢との関係も、勇輝とのことも。もっと別の形になっていたかもしれない、と。

摩季:信じることの代償


自分でも現金なものだと呆れるが、玲奈に話を聞いてもらい、「勇輝を信じる」と決めたら途端に気持ちが軽くなった。

最初から、自分の中で結論は決まっていた。しかし裕子や花苗に全否定されたりして弱気になってしまっていたのだ。それを玲奈が払拭してくれた。

“今日この後、家に行ってもいい?”

思いがけず仕事が早く片付き、私はウキウキと勇輝にLINEを送る。こうして突然会いに行けるのも“彼女”の特権だ。

こんな風になれるなんて、ほんの少し前には考えられなかった。まさに脈なしからの大逆転、奇跡のような展開だ。

−もう疑ったりしない。素直に今の幸せを噛み締めよう。

一人でそんな風に誓っていたら、勇輝からの返事が届いた。

“ごめん、今日は別の約束がある”

思いがけず、断りの連絡だった。

思い切り落胆し、ため息まで溢れた。しかしまあ、予定があるなら…仕方ない。玲奈も今日は夕方から外出で直帰らしいから、一人で帰ろう。

諦めて、オフィスフロアを出る。

するとそこでばったり、会いたくない顔に出会ってしまった。


「あ、摩季さん。今帰りですかぁ?」

小走りで近寄ってくるのは、私に宣戦布告をしてきた香織だ。

「うん、まぁ…香織ちゃんも?」

あんな口を聞いておいて、よくもまあ普通に声をかけて来られるものだ。理解に苦しみながらも当たり障りなく言葉を返す。

「私は…これからちょ......


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