2019.05.28
2歳年上の一樹は、出会った当時31歳。当初から結婚に前向きだったという。
「彼、品川で割と広めのマンションに住んでて。一緒に暮らさないかって誘われたり、はっきりプロポーズされたわけじゃないですが結婚したいと思ってる、と言われていました」
だが、当初は未央の方がまったくその気になれなかったのだ。
「私も当時29歳で、結婚願望がなかったわけではないんです。たださっきもお話したように、私は一樹の見た目がどうしてもしっくり来てなくて。生理的に受け付けないとかじゃないんですけど、結婚となると躊躇してしまって」
なかなか恋愛対象として見ることができなかったという未央。だが、ある出来事をきっかけに、事態が変わり始めた。
「付き合い始めて半年が経つ頃、デートで六本木ヒルズを歩いていたら、ある女性が一樹に声をかけてきたんです。私がいることをわかっているのに、一樹!って呼び捨てにしたりして。最初から嫌な感じでした。最後は、私のことを上から下まで品定めするように見た後、一樹にまたね、とか言って去って行ったんですよ」
未央にとっては不快でしかない出来事だった。しかし一方で別の感情が芽生えたという。
「その人、一樹の元カノだったんです。これまで散々、俺には未央しかいないとかなんとか言ってたくせに元カノと話してる時の彼、満更でもない顔してて。それがなんだかすごく腹立たしくって…で、そしたら同時に、独占欲みたいなのが湧いてきたんですよね」
元カノが去った後、未央は遠慮することなく不満をぶつけたそうだ。
「元カノと仲良くする必要とかある?」
「もう絶対に連絡とらないで」
「そんなことを色々言ってたら、一樹は慌てて私の機嫌を取り始めながら、なんだか嬉しそうなそぶりまで見せて“わかったから。ごめん”って何回も謝ってくれました」
だが、一樹が未央の言いなりだったのは、この時までとなった。
一度表に放出した未央の独占欲は日ごとに膨れ上がり、それは次第に“依存”へと形を変えていった。
「友達からはやりすぎじゃない?って言われるくらい束縛したかもしれないです。例えば…?そうですね、会わない日は必ずどこで何をしてるか写真付きで報告させたりとか。でも私がヤキモチを焼くと嬉しそうだったし、全然嫌がる様子とかはなかったんですよ」
一樹は嫌がっていなかったという。未央はそれに関して自信があるようで「本当ですよ」と強調した。
「私が束縛癖を発揮するたび、一樹は“未央、俺のこと本当に大好きだね”って笑いながら言ってたんですよ。別に、そんなんじゃないしって私も口では否定していましたが、実際のところその通りでした。
最初は『顔がちょっと』とか『好みじゃない』とか言っていたのに、気づいた時には逆に私の方が一樹にハマってたみたいで、ハッと気がついたときにはもう遅かったですね」
そんな日々を重ね、時の経過とともに、未央も気づくくらいに彼の態度が変わってきた。
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