「私、淋しい…」一瞬で男をその気にさせる、“捨て犬系女”の秘策とは

自ら男に擦り寄る、捨て犬系女


美紗子が元カレに失恋したのが半年前。ということは今の彼・敦史との付き合いはどんなに長くても半年以内だ。

にも関わらず、もう「捨てられそう」とは一体どういうことなのか…?

美紗子はこちらの疑問を見透かすように、敦史との出会いから語り始めた。

「元カレにフラれ引きこもっていた私を見かねて、同期が外コン君たちとのお食事会を企画してくれたんです」

相当に落ち込んでいた美紗子は当初「そんな気になれない」と乗り気ではなく、渋々参加した会だった。

「でも偶然隣の席だった敦史が、すごくいい人で。初対面なのに私が元カレにフラれた話をずっと優しく聞いてくれて。そしたらなんか、泣けてきちゃって…」

美紗子は人並みにお酒を飲むものの、そこまで強くない。酔いのせいで通常よりエモーショナルになってしまっていたらしい。

さすがに涙を流すのは白けると思い、美紗子は必死で堪えた。

ただ元来「独りとか無理」な彼女。支えを失い弱っていた美紗子は、穏やかに、時に励ましながら話を聞いてくれる敦史を独り占めしたい衝動に駆られた。

「敦史くん。私、淋しい…」

体を完全に敦史に向け、美紗子は人目も憚らず大胆に身を寄せた。完全にロックオンである。

「彼の反応ですか?満更でもない風だったけど」

当然のごとく、自信満々に答える美紗子。

というのも、彼女が“この手”を使うのは初めてではないらしいのだ。

自ら体を近づけ距離を縮め、瞳をウルウル潤ませて男の顔を覗き込む。

この“捨て犬戦法”は、若い頃から美紗子の得意技。駆け引きや計算というより、独り身に耐えられなくなると、もはや無意識に自ら男に擦り寄ってしまうらしい。

そのおかげ(?)で、美紗子は20代から一度も男を途切れさせていないのだ。


「そのあとは予想どおり。敦史は俄然、積極的になりました。美紗子ちゃんを振るなんて元カレはバカな奴だ、とか、俺だったら絶対に美紗子ちゃんを選ぶ、とか言ったりして」

「うふふ」と笑う美紗子。しかしそれが単なる下心であることくらい、既に32歳となった彼女にわからないわけがないと思うが…。

「わかってますよ、もちろん。でもそれでも嬉しいじゃないですか。私に一生懸命になってくれて」

下心であろうが構わないと言う美紗子。結局この夜、彼女は敦史に誘われるがまま一夜をともにした。

「一晩限りで終わることも覚悟の上でした。でもそうはならなかった。金曜の夜だったから次の日も夕方まで一緒にいたし、その後もこまめに連絡をくれました」

大多数の予想に反し、敦史との関係は進展した。

そして男女の関係となり1ヶ月が経つ頃、美紗子は二人の関係についてしっかり確認もしたと言う。

「私たち付き合ってるってことでいいんだよね?って聞きました。敦史も、そのつもりだけどって言ってくれた」

美紗子は彼の言葉に安心し、敦史との関係を深めていったのだった。

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