実家暮らしの恋 Vol.3

キラキラOL保つため、1人暮らしで貯金ゼロ…。商社勤務の24歳女が妬む、実家暮らしの愛され美女

東京で1人暮らしを始める際、家賃の高さに目を疑う人も多いのではないだろうか?

特に23区の人気エリアでは、狭い1Kでも10万円を超えることはザラ。まだ収入の低い20代の若者たちの中には、“実家暮らし”を選択する者も少なくない。

家賃がかからない分可処分所得が多くなり、その分自分の好きなことにお金を使えることは、大きなメリットだ。

大手総合商社で働く一ノ瀬遥(28)もそのうちの一人。

仕事は完璧、また収入の大半をファッションや美容に投資できる彼女はいつも隙なく美しく、皆の憧れの的。最近は新しい彼氏もでき、全てが順風満帆…のはずだったが!?

お互いへのパーフェクトなイメージが先行し、出会って日も浅いまま付き合い出した遥と圭介。喜びも束の間、互いが実家暮らしであることを知り、2人ともショックを受けるが…


遥の強がり


「え、彼も実家暮らしだったの?」

遥が先日の圭介との温泉旅行で知った事実を打ち明けると、みなみは大きな目を更に見開き、そう答えた。

「そうなの。驚いちゃった。」

遥は、気にしていない風を装い、乾杯したばかりの白ワインを口に運ぶ。

みなみとは大学時代からの付き合いだ。遥がショックを受けた時についつい強がってしまうのを、みなみは知っているはずだ。

金曜夜の『タベルナ アンド バール イタリアーノ タ ロス』は賑わっている。平静を装えば装うほど、他の客の陽気な笑い声やざわめきの中で、強がっている自分の心がより一層浮き彫りになるのがわかった。

みなみは言葉を選びながらという様子で、遥に尋ねてきた。

「ねえ遥?実家暮らしの男子って、どうなの…?私の女友達が実家男子と付き合って、やばかったって話を聞くから。

例えば、1人暮らしの彼女の部屋にはしょっちゅう遊びに来るくせに、彼ママと同じように家事ができないと怒るとか、旅行先で荷物全然片付けないとかさ。」

遥はワイングラスを置き、真顔で答える。

「うーん……そういういわゆる『自立してない』みたいなエピソードはまだ無いよ。この間の温泉旅行も、凄く楽しく、穏やかに過ごせたし。いい人だと思う。」

その返答はみなみを少し安心させたようだったが、遥が強がっていることなど、とうに見抜いているはずだ。

「…でもね、このままデートのあとすぐバイバイ、が続くと思うとなんか切なくなっちゃって。

外デートだとよそゆきのままで終わっちゃうことが多いし、日常生活で何が好きで何が嫌いなのかとか、知らないことが多いまま付き合うのって、さみしいかも」

遥はそう言ってから、ゆっくり顔を上げた。みなみが心配そうにしている表情を見たくなかったのだ。

みなみは何か言いたそうにしていたが、強引にこの話を切り上げることにした。

「ごめん、こんな話しちゃって。まあ、大丈夫でしょ」

「…うん、楽しくやれたらいいね!」

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