噂の女 Vol.2

「口説けなかった女はいない」と豪語する男が連絡先すら教えてもらえない、謎の美女とは

連絡先を教えてもらう代わりの交換条件


「来てくれたんだ…」

ほとんど諦めていた僕は、驚きと嬉しさできっと間抜けな顔をしていただろう。そんな僕の顔を見て、彼女が薄く微笑んだ。

「本当は来る気は無かったんだけど…。あなたの餌に引っかかったみたい。とっておきの『面白い情報』って言うのを、聞いてみたくなっちゃって」

そうだ。あの時は慌てて口から出まかせを言ったのだが…。

「分かりました。ここはもう閉まってしまうので、他に移りましょうか」

僕は予想外に高鳴る胸の鼓動を悟られないように、必死で平静を装い、タクシーで『イツモディー』へと向かった。


「それで…。あなたの言う『面白い情報』って…」

「まぁ、焦らないでください。それにもし僕の情報が面白ければ、紗季さんの連絡先教えて頂けますか?」

「そうね、面白かったらね」

心なしか、彼女がいつもよりも楽しそうに見える。さて、どんな情報に反応するだろうか?

それから必死で頭をひねり、僕の持っている情報の中で、彼女が喜びそうなものを探った。

「2週間前、中目黒のバーで、女優のAと俳優のBがデートしていたらしいです」

「そう、でも芸能人に興味ないから5点」

「じゃあこれなんてどうです?来年辺りに絶対来そうな株の銘柄、教えましょうか?」

「株も賭け事もしないの、3点」

思った以上に厳しい採点に焦りながら、何とか絞り出していく。

「じゃあこれ。これは本当にある一部の人しか知らない極秘情報なんですが…。

何期か前の総務大臣に重田光一って人がいたの、分かります?泣く子も黙ると恐れられ、いつも怒ったように眉根を歪ませてへの字口をしてた…。あの人、実は…

奥様に『ピカリン』って呼ばれているらしいです。光一の光から来ているとか。確かに頭頂部が、つるりと光っていましたしね」

何とか絞り出したネタを、仰々しく真剣な顔をして言って見せた。すると、彼女は思わず「フフッ」と笑った。

「あ、今笑いましたね。では、連絡先教えて頂けますか?」

我ながら、学生のような幼稚なやりとりだな、と思う。けれどそれほどに必死なのだ。

「そうね…、ネタとしては30点と言ったところ。ギリギリの及第点。じゃあ、連絡先を教える代わりに、私にも一つ質問させて?」

「えぇ、教えてもらえるのであればどんなことでもお答えしますよ」

やっと彼女の連絡先を聞くことができる。その喜びで、僕は深く考えずにそう答えた。だが次の瞬間、僕はこれまでになく動揺することになる。

「ねぇ、爽太郎さん。あなたの目的は、一体何?」


▶︎NEXT:次回3月21日 木曜更新予定
紗季からの突然の質問に、爽太郎はどう乗り切るのか?爽太郎が桐生のためにここまでする訳とは…?

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

この記事へのコメント

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No Name
先手打たれすぎ。口説きたい感じが出てないから、そりゃあ警戒する。
2019/03/14 05:3799+返信2件
No Name
おいおい爽太郎のネタがどれもおもしろくないじゃないか。芸能人の方デート目撃って、大学生か〜い!
2019/03/14 07:0699+返信4件
No Name
これで本当に今まで口説けなかった女がいないの!?もっと誰もが唸るような方法で口説いても、なびかない設定にして欲しかったです〜!
2019/03/14 06:1799+
No Name
芸能人のデート情報で、相手が喜ぶと思ったんだ😅

行動が何か怪しい感じがヒシヒシと出てるし
この人秘書の仕事もあんまりできなそう。
2019/03/14 07:3854返信3件
No Name
爽太郎、ポンコツやな
2019/03/14 06:5153返信2件
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