2019.02.12
夫の異変は突然に Vol.2予想外の、医師の診断
帰宅したあずさは、コートも脱がずに寝室に走る。
無断欠勤した上、連絡がつかないなんて。家で倒れたり、痛みに悶えて動くことすら出来なかったのではないかと、一日中心配で仕方なかったのだ。
「ゆうちゃん!?」
あずさが呼びかけると、雄太はむくっと起き上がり、不思議そうな顔をした。
「そんな息切らして、どうしたの…?」
真っ青な顔色はともかく、雄太の無事を確認したあずさは、ひとまずホッと胸を撫で下ろす。
「もう…。ゆうちゃんの会社の人事部から電話をもらったけど、今朝、休みの連絡入れてないって聞いたよ。そんなに体調悪かったの?」
「あ…」
雄太はすっかり忘れていたらしく「うわ、やらかした」と言って、頭を抱えた。
「ゆうちゃん、やっぱりどう考えてもちょっと変だよ。明日、私も一緒に行くから病院で診てもらおう。ね?」
「…うーん」
雄太は最後まで渋っていたが、結局あずさに押し切られる形で、ついに病院を受診することになったのだった。
翌日。あずさは雄太と、近くの内科まで来ていた。
雄太の記入した問診票にちらりと目をやると、「食欲不振」「だるい」「眠れない」などの症状にマルがついている。
それらをぼんやり眺めていたら、急に不安が募ってきた。
−もし、重大な病気だったらどうしよう。今後、どうなっちゃうんだろう…?
夫・雄太の年収は1,200万円。あずさの年収は450万円。和田家の大黒柱は、雄太なのだ。
雄太が働けなくなってしまうと、社会保険による手当が出るにしても世帯収入は大幅に減ってしまうだろう。今の家には絶対に住めないし、生活水準を大幅に下げる必要も出てくる。
−子どもも無理かも…!?
今のライフスタイルを手放すだけでなく、自分の描いて来た理想と大きくかけ離れた人生になるかもしれない。
雄太のことはもちろん心配だが、とにかく先行きが不安で仕方なかった。
「和田さん、中へどうぞ」
診察室に呼ばれる声で、あずさはハッと我に返った。それと同時に、自己嫌悪に陥ってしまう。
ー私、今なんてこと考えてた…?そんなことより今は、ゆうちゃんの身体の方が大事なのに…。
夫と一緒に診察室へ入ると、医師とやりとりする雄太を後ろで見守りながら、祈るような気持ちで待っていた。
話を聞き終えた医師は、姿勢を正して雄太の方を向いた。そして、キッパリとこう言ったのだ。
「率直に申し上げます。うつ状態がみられますので、一度心療内科を受診してください」
「う、うつ!?」
信じられない診断に、雄太を差し置き、あずさは身を乗り出して反応してしまった。
▶︎Next:2月19日 火曜公開予定
次週、夫の診断をきっかけに、夫婦は分裂していく…?
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
きっとこの話は希望があるエンディングになるでしょうけど、子ナシだから、現実で起こったらば、よくならなければ離婚かな。
口では優しくしてやれ的なこと言えても、実際に向き合ってると自分もおかしくなってしまいそうになる時もあるし。
主人公達はどう乗り越えていくのか?今後に期待。
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