表紙カレンダー Vol.41

32歳・田中みな実が本音を語ったら、大人の女の葛藤が見えて思わず抱きしめたくなった!

世の女性たちを大いにざわつかせたドラマ『タラレバ娘』にも描かれたように、30歳前後の女性には、特有の迷いや焦燥がある。

しかし、さまざまな感情に揺れ動かされながらも大人の女へ近付こうとする姿には、どこか魅せられてしまう。

社会人10年目、誕生日を迎えてまさに32歳になった田中みな実さんもまた、アンビバレントで魅力的だった。

ここでは、そんな彼女を通して、大人としての葛藤に揺れるこの歳のリアルに迫ってみた―。


「無理に自分を演出しなくても、気後れしない自分になってきた気がする。」


人生には〝背伸び〞の時期がある。社会に出始めてしばらくの頃は、高級店で食事したり、高価なブランド物を身に着けたりして、人は自分なりの「大人像」を体現しようとする。田中みな実さんもその一人だったようだ。

一流のフレンチレストランに誘われることに幸せを感じ、出掛ける際はとびきりおめかししたというが、聞けば、そこには無理があった。必ずしも自然体や平常心で臨んでいたのではなかったようなのだ。

「経験に乏しいから、どんな格好が相応しいのかを事前に必死に調べたりして。そのくせ、いざとなると訳知り顔で振る舞ってみる。実際に見えていたのは表面的なことばかりで、本質的な素晴らしさには気づけていなかったのに。今、振り返ると、なんだかいじらしいですね」


確かに20代の頃はとかく目先のことに囚われがちだ。足場が固まっていないからこそ、その不安定さを払拭しようとしゃかりきになる。

「仕事でも同様でした。同期に追い抜かれないように、そして、先輩をも追い越そうと躍起になって、当たり前のように家にも仕事を持ち込んでいた。そのことに何の違和感も抱いていませんでした」

謂わば〝虚勢を張る〞という具合だったのだろうが、そんな過去の自分をあっけらかんと開示できてしまう田中さんは、清々しくて痛快だ。


「物事をどこか達観して見られるようになったのは、この1、2年のこと。フリーに転身した27歳の頃は、鼻息が荒く、活躍できると信じて疑いませんでしたが、現実はさほどでもなかったので、自分に過度に期待するのをやめたんです。

すると、肩の力がすっと抜けて楽になれた。視界も徐々に開けて、自分は一人ではなく、多くの人たちによって生かされていることに感謝するようにもなりました。そういう心持ちは自然と伝わるんでしょうね。新しい人との出会いや仕事が増えたように感じます」

そう語る今の彼女にとって居心地がいい場所は、中国茶の専門店だという。仕事場から家路に就く途中、しがらみのないその上質な空間で一人お茶を嗜み、己をリセットする。本当の居場所を持つ。それも自立した32歳の在り方なのだろう。


結婚ラッシュは何回かやってくる。一回は29歳の頃。30歳をひとつの節目と捉え、それを目前にして駆け込む女性が少なくないからだ。

テレビドラマや映画でも、この年齢の女性たちが取り上げられて話題になることも多いが、あれはまさにその揺れ動く女心をリアリティたっぷりに描くことで、多くの女性視聴者の心を掴んだのだろう。

では、「32歳」はどんなタイミングか?結婚は仕事でキャリアを積んでから、と考える女性にとっては〝結婚適齢期〞なのかもしれない。既婚者たちの出産ラッシュも始まるだろう。

その只中に身を置く田中みな実さんは言う。「自分のためだけに生きていくことに限界を感じるようになってきた」と。

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