女の嘘 Vol.4

女の嘘:一人で結婚式場を見学する奇妙な女。超ハイスぺ婚は、不器量な狂言女の自作自演か?

女は、息を吐くように嘘をつく。

それは何かと敵の多いこの世の中で、力に頼らず生き抜くために備わった、本能ともいうべき術なのだ。

それゆえ女の嘘は自然であり、かつ巧妙。特に男が見破ることなどほぼ不可能である。

これは、日常の彼方此方に転がる“女の嘘”をテーマにした、オムニバス・ストーリー。

前回は「小さな嘘」で人生を盛らざるを得ない女・麻里を紹介したが、今回は…?


第4話:狂言結婚を見破る女・愛美


「おはようございます」

職場の更衣室に入ると、予想通り、後輩たちが私の頭のてっぺんからつま先までチェックするような視線をよこしました。

昨日と服装が変わっているか、つまり「お泊り」したのかどうかを見ているに違いありません。

私は気がつかないふりをして、ヒールを鳴らしながら自分のロッカーを開け、黒いスーツの制服に着替えます。

「愛美さん、どうでした?昨日のお食事会。凄いハイスぺ揃いだったんですよね?」

新卒で入社してまだ数年の彼女たちは、興味津々といった調子で詮索してきます。

確かに昨日は友人の麻里から珍しく声がかかり、食事会に行ってきました。

男性陣は名の通った商社や代理店勤務でしたが、女性陣が不思議なことに申し訳ないほど地味で…。私と幹事の麻里がなんとか気を遣いながら楽しくお話して場をつなぎました。

ええ、わかっています。そもそも「30歳でハイスぺお食事会」なんてほとんど勝算なんてないって。これでも、"婚活のクライマックス"の舞台が私の職場。そう、私はホテルのブライダル担当ですから。

「人数合わせで急に呼ばれただけ。美味しいものいただいて1次会で帰ってきちゃった。やっぱり彼氏の顔がチラついちゃって」

「えー、愛美さんの彼氏って大阪でしたっけ?遠恋ですよね?マジメなんだからあ」

私は曖昧に笑うと、ロッカーの扉をバタンと閉じました。20代前半の後輩たちは、まだまだ幼く、頭もいいとは言い難い。この話はこれでお終いという合図です。

「じゃあ、行くね。今からチャペル見学の予約が入ってるの。ちょっと"気味が悪い"予約なんだけど…」

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