女子力の呪い Vol.10

「また会えて嬉しいよ」7年間“プロ独身”を貫いたハイスペ男に潜む、底知れぬ闇

私たちには呪いがかけられている。

いつでもかわいらしく身ぎれいに、
だって「女の子なんだから」。
人の輪を乱さずに、まわりに気を配るの、
だって「女の子なんだから」
男性を立てて。プライドを傷つけちゃだめ、
だって「女の子なんだから」。

キャリアを手にし、妻や母となっても、影のようにつきまとう呪いの正体とは?

理子(28)の幼ななじみ、ナベちゃんは聞き上手で料理の腕もプロ級の“女子力高すぎ男子”。ある日理子は衝動的に彼に逆プロポーズをする。返事は意外なことに“YES”で…


やっぱり“女子力高すぎ男子”ナベちゃん・35歳


理子(35)はインターホンを押し、軽く深呼吸した。

代々木上原の駅から徒歩3分のマンション。ピカピカに磨き上げられた玄関には花やグリーンが行儀よく並び、どこからかパンの焼けるいい匂いが漂っている。

「趣味のいい奥さまがお住まいなのね」。この家を見ればきっと誰もがそう言うだろう。でもここにお住まいなのは奥さまではなく–

「わあ、理子ちゃん!久しぶりだね」

家主のナベちゃんこと渡辺雄一(35)が、満面の笑顔で理子を出迎えてくれた。

少し鼻にかかったような掠れた声。色白で端正な顔立ち。そして感情の読み取れない、真っ黒な瞳。

–私は…夢をみているのだろうか

理子は、思わず目をしばたたかせた。その目じりには数年前にはなかった小じわが刻まれている。

だって、あれから7年も経ったのだ。

理子が、あるひどい裏切りをして、麻布十番のナベちゃんの部屋を勝手に飛び出してから…

でも目の前にいるこの男ときたら、まるで魔法にかけられたかのように、何ひとつ変わっていない。

「入って、いまお茶淹れるね」

柴犬を思わせるやわらかな笑顔を見て、理子はどこか…背筋がスッと冷たくなるのを感じた。

【女子力の呪い】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo