脂が乗ってプリプリ!出汁が決め手のクエしゃぶも絶品
続いては「クエのしゃぶしゃぶ」を紹介したい。寒くなるほどに美味しさを増していくクエ。
こちらでは10㎏以上の大きなクエのみを仕入れて使用する。贅沢に大きく厚く切られた身には、たっぷりと脂がのっている。
目の前で静かに沸く出汁にサッとくぐらせれば、クエがもつゼラチン質が溶け出していく。出汁からあげて、自家製のポン酢をつけるころにはゼラチンがプリプリとした食感となり、最高の状態に。
「クエ」という食材自体の美味しさに加え、出汁をまとうことでさらにその旨みが増していく。
濃厚でコク深い脂の美味しさをもつクエには、ごぼうや芹、長ネギなど味わいの強い野菜を合わせて召し上がれ。
高級感と品を兼ね備えた真鍮鍋でいただく「クエのしゃぶしゃぶ」は、食べる前から自然と気分が高揚する。
料理は舌だけでなく、目でも楽しむものであるということを改めて感じさせてくれる。
丁寧な仕事ぶりに思わず唸る「海老芋の揚げまんじゅう」も美味
3品目はこの時期、旬を迎える「海老芋」。海老芋を蒸してから、出汁で炊き、裏ごしする。その後、成形してから揚げるという手間暇かかった一品だ。
一見、海老芋をそのまま炊きあげたようにも見えるが、スーッとなめらかに箸が通っていく様をみれば、その丁寧な仕事ぶりにハッとするだろう。
上品な味わいの海老芋を少しずつつまみながら、ビールを味わうというのもまた贅沢な時間だ。
幼い頃から料理の道を志し、和食の料理人の凜とした姿に憧れ、研鑽をつんだ店主・三科氏。
名店『石かわ』に入ってまもなく頭角を現し、30歳半ばで『蓮』の看板を銀座に掲げた逸材だ。しかし、その気鋭の料理人のたたずまいは、真摯で、ものごし柔らか。
彼の料理は、素材ひとつひとつ、全ての味わいを最大限に活かして一皿を完成させる心のこもったものばかり。
冬の寒い時期に味わえば、じんわりと心に染み入るように優しい温もりを与えてくれるだろう。