―どうして、私がフラれるの...?
某有名弁護士事務所の秘書として働くマリ・32歳は、結婚を予定していた彼氏に突然フラれてしまった。
外見、女子力、家事能力、可愛げ...。
すべては“都心で暮らす優雅な妻”としての生活を手に入れるため、マリが人生を賭けて長年積み上げてきた能力だ。そして、その戦略に抜かりはなかったはずである。
しかし、彼女は致命的な欠点を見落としていた...。
男性が結婚相手を選ぶにあたり、真にモテる女が備える“ある要素”とは!?
とある日の金曜夜。
マリは賑やかな街を一人虚ろにトボトボと歩いていた。
―嘘...でしょ?
まだ上手く現実を受け入れられないが、マリはたった今、恋人にフラれたばかりだ。
1年の交際を経て、最近は結婚についても具体的に話し合っていた誠一。外資系コンサルティング会社勤めのエリートである彼は、結婚相手として申し分なかった。
ミーハーでブランド好きなマリにとって、誠一は少しケチに感じることもあったが、結婚さえしてしまえばお財布は一緒。マリの人生は「一丁あがり」である。
そして、今の弁護士秘書の仕事はひとまず辞めて、のんびり優雅な生活を送ろうと決めていた。なのに...。
32歳、独身、恋人ナシ。
突然突きつけられたこの絶望的なステータスに、マリはただ呆然とするばかりだ。
ちなみにフラれた原因は、年末に予定していたハワイ旅行が原因だった。
憧れのハレクラニに5泊し、ハワイで人気の予約困難なレストランも苦労して席を押さえた。それなのに誠一は、あろうことか突然旅費をキッチリ割り勘にしたいと言い出したのだ。
―マリの金銭感覚は、人としておかしいよ。君とは付き合っていけない―
しかし、こんな些細な口論でまさか破局にまで至るとは思わなかった。
そしてマリは、誠一が最後に吐き捨てるように言ったこのセリフにいまだ納得できず、モヤモヤと胸を痛めていたのだった。