オールドリッチの悲哀 Vol.3

遺産相続に追いつめられるオールドリッチ。田園調布の豪邸を容赦なく襲う、厳しい現実

先祖代々受け継がれし名声と財産。

それを守り続けるために、幼い頃から心身に叩き込まれる躾と品位。

名家の系譜を汲む彼らは、新興のビジネスで財を成した富裕層と差別化されてこう呼ばれる。

「オールドリッチ」と。

一見すると何の悩みもなく、ただ恵まれた人生を送っているように見えるオールドリッチ。

しかし、オールドリッチの多くは、人からは理解されない苦悩や重圧に晒されている。

知られざるオールドリッチ達の心のうちが、今、つまびらかにされる−。

前回は、プライドばかりが高いオールドリッチの由紀を紹介した。今回は?


【今週のオールドリッチ】
名前:柳沢梨華
年齢:27歳
職業:商社一般職
住居:芝公園


田園調布駅西口を抜けると、放射状に延びたイチョウ並木はすでに黄色く色づいていた。

「先月来た時はまだ青々としていたのに…」

月に一度開催される祖母宅でのファミリーディナー。この伝統行事のため、梨華は毎月必ずこうして田園調布を訪れる。

幼い頃から通った田園調布は、梨華にとっては自宅の庭のように愛着のある場所だ。

復元された旧駅舎によって、駅にはヴィンテージな雰囲気が漂っている。しかし、街並みそのものは梨華が幼少の頃とはすっかり様変わりしてしまっていた。

かつて大豪邸が並んだ通りには、中規模サイズの家が目立つようになった。それどころか、見るからに空き家といった手入れのされていない家や、空き地すら存在する。

昔では考えられなかった光景に言い知れない切なさを感じながら、梨華は住宅地の奥へと足を進めた。

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