35歳のヤバい女 Vol.14

35歳のヤバい女:年下男の“焦らしプレイ”に翻弄される独身女。紳士な彼が見せた、大胆な一面とは

「ロマンチック」と「バカップル」の境界線


待ちに待った週末。

理恵子は大急ぎで丸の内に向かっていた。今夜は光一とデートの約束をしている。

しかし今日はたまたま撮影の仕事が長引いてしまい、もう30分も遅刻していた。渋滞にハマり、ノロノロ運転となったタクシーの中、理恵子は苛立ちながらスマホに視線を落とす。

すると、光一のメッセージが目に入った。

―急がなくていいので、気をつけて来てください👍理恵子さんを待つ時間も楽しいので😄ー

思わず「...なんて良い子なの」と一人呟くほど、理恵子は感心してしまう。

新太郎は、この優しさを“女々しい”と形容したいのだろうか。理恵子は愚かなバツイチ男の戯言を頭から振り払い、そっとスマホを抱きしめた。


新丸ビル6階の『ソルト バイ ルークマンガン』に到着すると、すぐに光一を見つけた。

ここは、理恵子もちょうど“丸の内の秋のグルメフェア”を見て気になっていたレストランだ。

落ち着いた明りの店内で、光一の笑顔は相変わらず光り輝いている。

「遅れてゴメンね...!」

「とんでもないです。会えて嬉しいです。でも...理恵子さんみたいな女性が、週末に忙しく働く必要なんてないのに...」

彼は長らく待たされたことにも不満は一切見せず、代わりに労いの言葉と共に自然に理恵子の手をとった。

その、まさに王子さながらの立ち振る舞いに、理恵子はまだ素面にも関わらず頭がクラクラしてしまう。さらには、店内の他の客も自分たちに注目しているように感じる。

しかし、それも当然だろう。これほど美しいカップルは、大都会東京とはいえ、簡単にはお目にかかれないはずだ。

ロマンチック極まりない雰囲気の中、理恵子は新しい恋人との甘い会話を楽しむ。


しかし、少々違和感を感じ始めたのは、当初に握られた手を光一がなかなか離さないことに気づいたときだった。


―......?何だか、ちょっと食べにくいわ...?

もちろん、食事の最中は何となく手が離れるのだが、ふとした合間や会話に集中したときなど、必ずギュッと手を握られているのだ。

また時間が経つにつれて、光一のボディタッチは少しずつ濃厚になる。

理恵子の頰や髪を撫でたり、肩を抱かれたり。最終的には、ワインで顔を赤くした理恵子が可愛いと、不意にキスまでされてしまった。

その一つ一つの動作はまるで映画のワンシーンのように美しくムーディーなのだが、正直、これではただの“バカップル”である。

公衆の面前で大胆に愛情表現をする年下の恋人を可愛いと思う一方で、理恵子は内心、周囲の目を気にしてヒヤヒヤと過ごす羽目になってしまった。

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