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  • 30歳、わたしの改造計画 Vol.1

    30歳、わたしの改造計画:キャリア美女の恋は、呆気なく散る…?2歳年下の“愛され系OL”に嫉妬する理由

    もともと美琴と旬は同期だが、ほとんど接点はなかった。

    しかし昨年起きた製品不良による回収騒ぎの折、美琴と旬は共に対策チームに招集され、いろいろと話すようになったのだ。


    営業部の旬は顧客対応も素早く適切で、社のダメージを最小限に抑えた。それまで知らなかったが、旬は営業部で期待されているエースらしい。皆が旬を賞賛する中、偉ぶらずにチームメンバーに感謝する姿に、気づいたら美琴は恋をしていたのだった。

    「マーケティング部には現場を理解しようとしない奴らもいるけど、美琴は違うよな。美琴と同期で本当に良かったよ。」

    同期飲みの帰り道に旬から言われた言葉は、間違いなく褒め言葉だ。だけど異性としては見られていない気がして、なかなか一歩が踏み出せないでいたのだった。

    片思い中の美琴に、絶好のチャンス到来


    その翌日のことー。

    「あの、先輩。新製品について、もう少し聞いてもいいですか?」

    マーケティング部と営業部の定例の打ち合わせの後、葵から突然声をかけられた。

    葵はもともと広報部所属であったが、半年前に営業部へ異動していた。美琴より2年後に入ってきたので、おそらく28歳くらいだろう。

    異動が決まった直後は、華やかなイメージの広報から体育会系の営業へ異動というその意外性からか「顔採用で、営業部長が引き抜いた」や「接待枠じゃないか」など、心ない噂が社内に流れたが、当の本人は知ってか知らずか、旬のチームで日々頑張っているようだ。

    「お店への棚割の提案で、ライバル企業にどうしても勝ちたくて。ターゲットについてもう少し教えていただけませんか?」

    真剣な眼差しに気圧されそうになりながら説明すると、葵は資料に丁寧にメモを取り、終わると満面の笑みを向けてきた。

    「大変勉強になりました。ありがとうございました!」

    そう言って頭を下げると、旬の方に駆け寄り資料を見せる。その姿は先輩後輩というより、どうしても素敵なカップルに見えてしまうのだった。

    2人のその姿を見ているのに気づいたのか、打ち合わせに同席していたマーケティング部の後輩・しおりが口を尖らせる。

    「先輩、直接聞いちゃえばいいのに。なんなら私が聞いてあげましょうか?」

    社内でも噂になっている二人の真偽を旬に聞けずにいるのを、彼女は知っているのだ。

    「やめてよ。もし違ったとしても、向こうは私のこと何とも思ってないんだから。」
    「もう!先輩って美人で仕事もできるのに、恋愛が絡むと何で急にそんな弱気なんですか!」

    しおりはいつも堂々としていて、明るく人気者だ。結婚式を前に最近ますます綺麗になり、同性から見てもハッとすることもあるほどである。

    「お、美琴。お疲れさま」

    しおりへの返答に詰まっていると、後ろから声をかけられた。旬だった。

    「打ち合わせ、今日も長かったな。もしよかったらこのあと、一杯行かない?久しぶりにさ。」

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