恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.3

ハマると抜け出せない蟻地獄。プレイボーイの商社マンを本気にさせた、年上女の魔力

年上女の魔力


そして里奈とは再び疎遠になった。

僕はその後も相変わらずふらふらと、特定の彼女はつくらず無責任な付き合いばかりを繰り返した。

女たちはいつも、気まぐれに近づいてきたかと思えばあっさりと(時には泣き喚いて)去っていく。

しかしそんな身勝手な女たちの中で唯一、ずっと穏やかな笑顔で寄り添ってくれる女がいた。


3つ年上の美月(みづき)と出会ったのは、僕を可愛がってくれている同じ部門の先輩、藤井さんの結婚式だ。

藤井さんは実に彼らしい選択でCAと結婚したのだが、そのCA妻、つまり新婦の女子大時代の友人として参列していたのが美月だった。

男性なら必ず共感してもらえるはずだが、結婚式に出席してすることといえば、新婦友人の品定めである。

その場で声をかけるような真似はしなかったが、その日、僕が心の中で勝手にナンバーワンを贈っていたのが美月だった。

単純に、小柄で華奢なスタイルと、年上ながら幼さの残る顔立ちが好みだったのだ。


後日、藤井さんから呼び出された僕は、ひょんな話の流れで美月とデートすることになった。

どうやら彼女のほうも、僕を気に入っているのだという。

とはいえ、先輩の紹介という多少の義理はあれど、僕としては最初から本気だったわけじゃない。他の女たちを切ってまで美月ひとりに向き合う気もなかった。

しかし彼女は、想像以上に包容力のある女だったのだ。

僕に他の女の影があることくらい、美月もすぐに気づいたと思う。しかし彼女は何も言わず、何も聞かない。

美月は某メガバンクの渋谷支店に勤めており恵比寿で一人暮らしをしていたが、しばらくすると自由が丘にある僕の家で過ごすことが増え半同棲のような状態となった。

それでもしょっちゅう深夜または午前様で帰宅する僕を、美月は決して問いただしたりしない。

怒るどころか「おかえり。お茶漬けでも作る?」などと声をかけてくる居心地の良さは、一度ハマると抜け出せない蟻地獄のような魔力があった。

もともと、母親と歳の離れた姉にさんざん甘やかされて育った僕だったから、年上の彼女に甘えるのはごくごく自然な流れだったとも言える。


「ねぇ…廉と私の関係って、なに?」

曖昧な関係が3ヶ月ほど続いた、ある夜のことだ。

ひとしきり抱き合った後、ついに美月からそう聞かれた。彼女は試すように、脱力した僕の腕を胸元に抱き寄せる。

当時28歳、黄金期を迎えた美月の身体には贅肉ではない程よい肉づきがあり、成熟......


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