—リリリリ...
携帯のアラームが鳴り、まだ眠りたい気持ちをベッドに残しながら、美奈子は携帯を置いている机へと移動する。
また、一週間が始まった。
少し小さくため息をつく。会社に行きたくない気持ちが大きくて、いつも月曜は憂鬱になるのだ。
でも今日は朝にシャワーを浴びてから、沙羅から教えてもらった医薬品の「メソッド」のクリームを先に塗ってみた。
スゥッと、伸びていくクリーム。
少しだけ、何か自分の中でバリアがはれた気がして、美奈子は大きく深呼吸してから会社へと向かった。だが…。
「高橋!この資料どうなってんのよ!」
また、今日も朝一から堀田先輩のトゲトゲしい声が飛んでくる。美奈子は、その声と同時に、カラダ中から汗が吹き出てくるのを感じた。
「すみません...」
慌てて謝るものの、やはり堀田先輩はイライラしている。
しかしよく見ると、堀田先輩の首回りにも、美奈子と同じように赤みが出ていた。
—あれ?先輩も私と同じようにストレスを抱えてる…?
デスクに戻ると、後輩の凛ちゃんがこっそりと耳打ちしてきた。
「堀田先輩、昔は高橋先輩よりもっとキツく上司から怒られていたみたいですよ〜。しかも噂によると、旦那さんと上手くいってないとか...」
その時に、美奈子はふと思い出した。
入社直後に、堀田先輩から言われた一言を。
“あなたは、私に似てるのかも。真面目で、まっすぐで。素質がある分、厳しいことも言うけど、頑張りなさい。”
堀田先輩は美奈子に、昔の自分を重ねていたのかもしれない。
不器用だけれども真面目にコツコツ頑張れば、いつか報われると信じている。同じ失敗をして欲しくないから、強く言ってくれるのだろう。
お手洗いに行くと更に気温が高くなり、汗をかいた首回りが赤くなっていた。お手洗いに行って、さっと「メソッド」のシートで拭くと、かゆみが治まると同時に気持ちも落ち着いてきた。
人は、一人では生きてはいけない生き物である。
様々な人と出会い、関わることで人生は成り立っていくけれども、もちろん全員と気が合うわけではない。
ましてや社会人になると、学生時代のように好きな人だけと付き合っていけるわけでもなく、そこには様々な人間関係が生じる。
初めて堀田先輩の下についた時、美奈子は意気揚々とこう語っていた。
「堀田先輩みたいに、バリバリと働いて上を目指したいんです!」
「高橋なら、上にいけそうね。でも楽しいことばかりじゃないし、悔し涙をたくさん流す覚悟はしておきなさいよ」
堀田先輩は、美奈子より立場も上だし責任も大きい。
きっと彼女は彼女なりにそのプレッシャーの中で生きてきて、幾度も悔しい思いをしてきたのだろう。
キツイことを言うのも、自分と同じ思いをして欲しくないからなのかもしれない。
—初心に戻って、頑張ろう。
大きく一人で頷き、笑顔で堀田先輩の元に駆け寄った。
「先輩、一緒に頑張りましょうね!」
堀田先輩は驚きつつも、どこか嬉しそうな顔をしていた。
—Fin.
美奈子が使っていた「メソッド」の詳細はこちら!
■衣装協力:TOPページ ジャケット¥19,000〈ユニバーサルランゲージ/ユニバーサルランゲージ たまプラーザ テラス店TEL:045-905-1861〉イヤリング¥7,500〈アビステTEL:03-3401-7124〉バッグ¥29,000〈ザ キャットウィスカーズ/フィルムTEL:03-5413-4141〉その他スタイリスト私物 P1 ジャケット¥23,000 トップス¥8,800 スカート¥12,000〈すべてユニバーサルランゲージ/ユニバーサルランゲージ たまプラーザ テラス店TEL:045-905-1861〉ネックレス¥10,695〈アビステTEL:03-3401-7124〉