木梨憲武さんに麻布十番の魅力を聞きに行ったら、リアルな行きつけをほとんど全部回ってくれた!

それから月日は流れ、とんねるずはスターとなった。木梨さんは売れっ子芸人として活躍する一方、アーティストとしての才能を開花させた。創作活動に没頭するために自分専用のアトリエも設けた。その場所も、やはり十番だった。

「老舗のたい焼き屋、電気屋、それから仏壇屋もある。ちょっと足を延ばせばルイ・ヴィトンだって買えちゃう。詰まる所、普段の生活がすべてここで賄えるのがイイんだろうなあ。子供たちが小さかった頃は、十番商店街の『コバヤシ』っておもちゃ屋によく行ったよ。

それからパン屋。十番には個性的なパン屋が多いから、その日の気分で選べて便利なんだよね。今朝は奥さんが仕事だったから、俺が朝ごはん係ってことで『アレフランス』で〝おふくろサンド〞を買った。コレが素朴で旨いんだ」

そして、木梨さんは悪戯っぽい眼差しで「さっ、もうまとめられるよね!」と一言。

コチラが「いやいやもう少し」と食い下がると、「じゃあ、映画の宣伝でもさせてもらおっかな。16年ぶりに主演するってことで、今、大々的にキャンペーンやってる最中なのよ」と有無を言わさぬ木梨節を炸裂。

「全国のジジイ選抜から勝ち上がり、『いぬやしき』という映画で最強のジジイを演やらせてもらってます。新宿の街での空中戦がハリウッド顔負けのCGで表現されていて、観れば度肝を抜かれると思うよ。

ちなみに、俺はこの作品でCG男優賞の第1回を受賞する予定。誰もくれなかったら自分でトロフィー作って、ヒロミとかフミヤとか(カンニング)竹山とか、オッサンの話を聞いてくれる連中を『川上庵』に集めて乾杯する」

そう言って、「ねえ、もういいよね。文章書けるでしょ」と畳みかける木梨さん。本当にお茶目だ。

「じゃあ、行こっか。そろそろ」

 えっと、どこに?

「麻布十番のすべてを見せるって最初に言ったでしょ。俺、嘘はつかないからね」

あたふたするスタッフを横目に、木梨さんは出ていった。この後の展開は次頁に続く……。

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