婚活市場で苦戦する、東大女子
「多くの女性と同様、子供の頃から、いつかは結婚して平和で明るい家庭を築きたいという願望がありました。
素敵な旦那さんと出会って、30歳手前で結婚して、やりがいのある仕事を続けながら子育ても二人で協力して...。適齢期が来たら、その時付き合ってる人と結婚するのかなぁって。
学生の頃は、まさかそれがこんなに難しいことだとは思いもよらなかったんです」
遠い目をして振り返る真理の口元が、自嘲気味に歪んだ。
天真爛漫な明るいオーラを纏いながらも、彼女は時折ふと客観的で冷静な目を向けるのだ。
やはり彼女は「東大女子」。‟にゃんにゃんOL”とは全く違う生き物なのだと感じさせる。
「大学生の頃は、正直とってもモテました。
そもそも大学の女子比率自体が低かったし、学内では結構可愛い方だったと自分でも思います。そんな感じだったから、在学時は彼氏が途切れたことなんてありませんでした。
でも卒業して社会に出てみたら...」
そこまで言うと真理は小さくため息を吐き、薬指の指輪に目を落とした。
「まずお食事会に行っても、ウッカリ‟東大卒”なんて言ったら他大卒の男の人は引きます。
一度、気になってる他部署の先輩がお食事会を開いてくれたんですけど…普段は一般職の女のことなんて小バカにしてる癖に、結局彼らがチヤホヤするのは"にゃんにゃんOL"。
私が何かを素直に褒めたって『いやいや、東大女子には叶いませんよ~』とか言われちゃって。...その時、他大卒の男はムリだなって悟りました」
「たかが学歴くらいでバカみたいですよね」と鼻で笑う彼女の目は、愛らしい笑顔とは裏腹にとても冷たい。
「それからもう1つ大きなハードルがあって。商社って、総合職だと大体入社4、5年目で駐在に出されちゃう。そして一度駐在に出たら最低でも3年は海外生活。
駐在が終わるまでのんびりしてたら確実に婚期を逃します。
...キャリアと女の幸せの両立って、自然に任せてるだけじゃ絶対に無理なんですよ。
だから私、駐在が決まる前になんとしてでも結婚してやるって決めたんです」
キャリアを捨てずに幸せな結婚をするため、真理はシビアな現実を直に受け止め、綿密な分析とプランニングを行ったという。
・どのような結婚生活が理想で、それを実現するのに必要な条件は何か。
・条件に当てはまる男性の中で、自分と相性が良いのはどのタイプか。
・駐在が決定するまでに、確実に婚約できる相手は誰か。
そうして彼女が白羽の矢を立てたのが、先月晴れて夫となった彼だったという。
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