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  • 「お前は、自分に厳し過ぎる」恋愛対象外だったはずの上司に、30歳女が心揺らいだ瞬間

    ―わたし、このままでいいのかな?

    出版社勤務の加々美さや(30)は、仕事でなかなか思うような成果がでず、まさに人生の“停滞期”を迎えていた。

    何か変わらなくてはいけない、でも何から変えていいか分からない。悶々と悩む彼女を変えたのは、ある意外な人物だった・・・?


    ―ウソでしょ。何でアイツがいるの。

    仕事が終わらず親友・利恵との待ち合わせに遅れ、焦り気味で店に駆け込んだら、入った瞬間足が止まって動けなくなった。

    利恵の斜め向かいに、“今一番会いたくない男”が、座っていたからだ。

    ーヤバい。

    とっさに身を翻して急いで携帯を取り出し、利恵とのLINEのトーク画面を開く。

    『斜め向かいにメガネのイケメンさんがいる♡日本酒飲んでてカッコいい♡♡』

    先に店に着いた利恵が送ってきた、♡マークだらけのLINEを読み直し、私はため息をついた。

    その“メガネのイケメン”は、水波義高(よしたか)。私が勤務して9年目になる出版社の上司であり、編集部のスーパーエースなのだ。

    ―アイツの愚痴が言いたくて来たのに……!

    会社に近い店を指定してしまった自分を呪いながら、親友にLINEを打ち込む。

    ―緊急事態。違う店に行こう。外で待ってるから。

    「あ!さやだ!さや、こっちだよ!」

    ヤバい。送信前に利恵が私に気が付いた。

    ―お願い利恵、携帯を見て!!!!

    カウンターに背を向けたまま、願いを込めてLINEを送信したけれど、彼女が様子は無く、もう一度私を呼んだ。その声に店員が反応し「どうされましたか?」と私に話しかけてきた。

    ―もう仕方がない。

    私は、鈍感な親友を恨みながら彼女の方へ歩き出し、恐る恐る「メガネのイケメン」の様子を伺うと、ばっちり目が合ってしまった。

    「おう、やっぱり加々美か。お疲れ。」

    ニコリともせずにそう言った彼に、私もしぶしぶ答える。

    「・・・お疲れ様です。」

    私の反応に、彼はおちょこを持った手を軽く挙げて答えると、特に気にも留めない様子で店員と話しだした。

    「え、なに、彼、さやのお知り合い?会社の方なの?」

    席に座ると、利恵が小声で聞いてきた。

    「まさかLINEで言ってた愚痴って、あのイケメンさんがらみ?」

    その言葉に私がうなずくと、利恵が気まずそうに、なんかごめん、と言った。今度また聞いて、と言いながら、数時間前、彼に言われた言葉を思い出す。

    「加々美はいつになったら、自信が持てるんだろうな。」

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