2018.04.20
―わたし、このままでいいのかな?
出版社勤務の加々美さや(30)は、仕事でなかなか思うような成果がでず、まさに人生の“停滞期”を迎えていた。
何か変わらなくてはいけない、でも何から変えていいか分からない。悶々と悩む彼女を変えたのは、ある意外な人物だった・・・?
―ウソでしょ。何でアイツがいるの。
仕事が終わらず親友・利恵との待ち合わせに遅れ、焦り気味で店に駆け込んだら、入った瞬間足が止まって動けなくなった。
利恵の斜め向かいに、“今一番会いたくない男”が、座っていたからだ。
ーヤバい。
とっさに身を翻して急いで携帯を取り出し、利恵とのLINEのトーク画面を開く。
『斜め向かいにメガネのイケメンさんがいる♡日本酒飲んでてカッコいい♡♡』
先に店に着いた利恵が送ってきた、♡マークだらけのLINEを読み直し、私はため息をついた。
その“メガネのイケメン”は、水波義高(よしたか)。私が勤務して9年目になる出版社の上司であり、編集部のスーパーエースなのだ。
―アイツの愚痴が言いたくて来たのに……!
会社に近い店を指定してしまった自分を呪いながら、親友にLINEを打ち込む。
―緊急事態。違う店に行こう。外で待ってるから。
「あ!さやだ!さや、こっちだよ!」
ヤバい。送信前に利恵が私に気が付いた。
―お願い利恵、携帯を見て!!!!
カウンターに背を向けたまま、願いを込めてLINEを送信したけれど、彼女が様子は無く、もう一度私を呼んだ。その声に店員が反応し「どうされましたか?」と私に話しかけてきた。
―もう仕方がない。
私は、鈍感な親友を恨みながら彼女の方へ歩き出し、恐る恐る「メガネのイケメン」の様子を伺うと、ばっちり目が合ってしまった。
「おう、やっぱり加々美か。お疲れ。」
ニコリともせずにそう言った彼に、私もしぶしぶ答える。
「・・・お疲れ様です。」
私の反応に、彼はおちょこを持った手を軽く挙げて答えると、特に気にも留めない様子で店員と話しだした。
「え、なに、彼、さやのお知り合い?会社の方なの?」
席に座ると、利恵が小声で聞いてきた。
「まさかLINEで言ってた愚痴って、あのイケメンさんがらみ?」
その言葉に私がうなずくと、利恵が気まずそうに、なんかごめん、と言った。今度また聞いて、と言いながら、数時間前、彼に言われた言葉を思い出す。
「加々美はいつになったら、自信が持てるんだろうな。」
おすすめ記事
2018.01.21
天現寺ウォーズ
天現寺ウォーズ:慶應幼稚舎入学は、この世の“フリーパス”!?元CA妻がゼロから挑む、お受験戦争
2023.02.28
ナシ子先輩の幸福な人生
ブライダルフェアの直後、彼と修羅場に…。女が許せなかった、彼の行動とは?
2022.03.16
ゴシップな女ー嫌われ者のカレンが死んだー
「ポンと300万も出してくれた」出会ったばかりの男に出資を繰り返す美女。真相を探るべく、バーを訪れると…
2020.05.22
キッチン・マン
キッチン・マン:料理をインスタ投稿する女が気付かない、男子がチェックする意外なポイント
2022.12.01
ポン女
離婚したい夫と、離婚したくない妻。両者の言い分には相容れない理由があって…
2017.01.02
二子玉川の妻たちは
本当のサロン文化をご存知?「才女気取り」は御免あそばせ。二子玉川に真のお嬢妻登場
2021.07.20
アイ・ニード・モア〜外資系オンナの欲望〜
アイ・ニード・モア〜外資系オンナの欲望〜:「年収900万なら離婚」自分より低収入の夫をクビにした妻
2018.09.13
港区女子の終点
港区女子、28歳定年説。30歳を過ぎると手配師となるしか港区で生き残る道はナシ?
2016.10.29
商社マン優作
いよいよ明日で最終話!「商社マン優作」全話総集編
2019.03.29
背徳と狂気に満ちた男女の物語が、本日完結!この週末は一気読みで楽しもう!
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"