外資系OLサトコ：“彼女持ち”の男の甘い言葉に酔う女。略奪を決意した瞬間に訪れた悲劇とは

自信を取り戻した女を襲う悲劇

「...聡子と一緒にいると、本当に楽しいよ」

陽介のこの一言は、聡子の頭の中で何度もリフレインされた。

―もしかして、私にもまだチャンスがある...？

“ゆるふわOL”にはなく、聡子が持っている最大の強み。それは仕事への理解や、同じ責任ある立場として陽介と近い目線で物事を考えられることかもしれない。

「本当にありがとう、聡子」

さらに陽介は、深い感謝の言葉とともに、テーブルに置いた聡子の手をギュッと握った。それは単なる古い友人としてのコミュニケーションかも知れないし、彼は少し酔っているだけかもしれない。

ーもうちょっと、陽介と一緒にいたいな…。

聡子は陽介を見つめながら、そんなことをぼんやりと考える。すると彼はこう言った。

「ねぇ聡子...今夜はもう少し君と話がしたいな。よければ、もう一軒飲みに行かない？」

そして陽介は、近くに行きつけのバーがあるから、と言って立ち上がった。

気づけば二人の間には、まるで恋人時代に戻ったような甘い空気が流れ始めている。

「実はさ......俺、別れたあとも、なかなか聡子のことが忘れられなかったんだ。今だから白状するけど、あの頃は俺もまだ子どもで、聡子がインターンや就活に夢中だったことに拗ねてたんだよな」

「え...」

お酒で顔を赤らめた陽介は、突然照れたようにそんな告白をした。

「でも...学生の頃から頑張ってたからこそ、聡子はこうして結果を出して、素敵な女性に成長したんだろうな。今となっては、後悔してるよ」

彼が吐露した意外な本音に、聡子は胸が一杯になる。ここは自分も思いを伝えるべきだ。

「私も...！」

そのとき、テーブルの上の陽介のスマホが聡子の言葉を遮るように激しく振動した。

「陽介...電話、出なくていいの？」

「今は、いい」

きっと、電話を鳴らしているのは恋人に違いない。しかし陽介はスマホを鞄にしまい、そのまま真剣な眼差しで聡子を見つめ続けた。

「あのね、陽介。私も別れたあと、ずっとあなたのことが...」

夢にまで見た展開。このチャンスは絶対に逃してはならない。

聡子は彼の熱い視線に緊張しながらも、長年の思いを告白しようと決意する。

その瞬間、バーの入り口のドアがカランと音を立てて開いた。

―...え？まさか、嘘でしょ...？

反射的に何気なく目を向けた聡子は、そこにいる人物の姿を見て、ヒヤッと全身の血の気が引く感覚に襲われた。

「陽ちゃん、やっぱりここにいたのね」

それは、Instagramで何度も何度も目にした美しい女。

陽介の彼女の知美であった。


▶NEXT：5月3日 木曜更新予定
知美とまさかの直接対決！“ゆるふわOL”の逆襲が始まる...？！


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