焼肉。塊肉を食べやすいサイズカットして、オリジナルのタレを使ったり使わなかったりして生肉を提供。そして焼くのは素人の我々…。
とても単純に思えてしまう。が、しかしなぜ、美味しい焼肉やとそうでない焼肉があるのか? その秘密を教えてくれる焼肉店が六本木にオープンした。
肉の名門出身の店主のカットやタレの使い方、そのすべてはまさに手の込んだ料理。ここの焼肉を食べずして焼肉は語れない!
人目を気にせず夢中になれる肉好きカップルの聖地誕生
『焼肉膳所 龍土町 匠』
西麻布から六本木にかけて群雄割拠する肉の名店の数々。焼肉店からステーキハウスまで、まさに百花繚乱の如く犇めきあうこの肉の街に、またひとつ期待の新星が現れた。
この3月、六本木ヒルズの真向かいに誕生した『焼肉膳所 龍土町 匠』だ。外の喧騒が嘘のような落ちついた雰囲気の店内で一際目を引くのはボックスシートの背もたれの高さ。プライベート感満載で焼肉デートの切り札として活躍してくれそう。
ご主人の飛地勝義さんは32歳。あの、予約が取れない焼肉店と名高い『金竜山』で修業した後、さらに詳しく肉のノウハウを学ぶため、熟成肉の名門精肉店、『京都 中勢以』でみっちり修業を積んだエキスパート。
『金竜山』では、肉のカットの仕方とそれによるタレとの相性、絡み方を習得。
一方『京都 中勢以』では、数多くの牛を見、触れ、捌く中で牛肉の全容を見る目と飼育による肉の味わいの違いを実感として学んだ。
「肉の扱い方の大切さも痛感しました」。それゆえ、ここでは、肉を保存する際も、ストレスをかけぬよう細心の注意を払っている。
現在店で扱う牛肉は、いずれも生産者のもとを訪れ、自らの舌で納得したものばかり。メインで用いている北海道オホーツク育ちの知床牛も然り。
飼育頭数が少ないため他県には出回らない希少牛で、東京でもこの牛を扱っているのは同店のみ。「試食させて貰ったところ、とても美味しくて」すぐさま牧場まで足を運んだ飛地さん。その旨さを確信。
「恵まれた環境の中、道内の餌だけを与え、清冽な水で育てている。そのせいなのか肉の味が濃いんです」
とりわけ、赤身肉に強い旨みのあるそうで、シンシンや内もも、ヒレなどの赤身は知床牛を中心に使い、サーロイン等々霜降り系の部位は脂が軽やかな九州や島根の牛を仕入れている。
これらの吟味した肉を、より高みへと引き上げているのが、飛地流のテクニックだ。丁寧な肉のカットに加え、特筆すべきは肉の部位に合わせた調味の巧妙さだろう。
例えば、サーロインにはタレと共に粉山椒を振り、その風味で脂感を軽くし、赤身でもややサシの強いシンシンには、醤油を塗って香ばしさをプラス。一方、赤身の強い内ももは、塩で肉本来の旨みを存分に楽しませるといった按配だ。
また、牛肉の漬けなどの生肉も隠れたおすすめメニュー。余韻豊かな鉄分の旨みに、思わず頰も緩むはず。上質の肉を独自にアレンジ。新たなテイストを楽しめるこの店なら肉好きの彼女も一目置くに違いない。
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