人事部は見た! Vol.5

人事部は見た!:昇進した者とできなかった者が直接対決。その裏にある、大人の事情

人事部ー。

社内の人間模様や、人間の黒い欲望に直接触れることもある部署。

人事部から見た社内、それは人の業が蠢く社会の縮図であった。

涼子が働く恵比寿のベンチャー企業では、管理本部長・坂上の社内システム入れ替えのミスを、総務課長の後藤になすり付けるための黒い思惑にまみれた、人事異動が発表された。

後藤も本部長坂上の保身のための人事異動と気付いているが、坂上からの黒い計画に陥っていた。

そんな時涼子は、今回の人事異動をよく思っていないであろう営業部次長が、後藤と2人で会議室に向かっているとの連絡を受けた。


会議室での密会


誠からの連絡を受け、涼子は会議室に急いだ。

あまり大きな足音をたてないよう、セルジオ・ロッシに気を配りながら小走りで向かう。

-後藤さんの昇進を良く思っていない営業部次長の平山さんが、後藤さんと会議室で2人になって、一体何を話すの?

会議室に向かいながら、涼子は見当をつける。

後藤さんと平山さんは創設時メンバーで、彼は自分が先に昇進すると思っていたこと、最近空アポが入ることが多くなったこと。

これらの背景を並べると、良い予感はしない。

涼子は、平山さんが後藤さんに掴みかかり、坂上さんにどうやって昇進を頼んだんだ!と言い寄っている姿を想像し、鳥肌が立った。

想像をかき消すように首を左右に振り、会議室に急ぐ。

会議室前に着くと、ある一室で何やら男性の話し声が聞こえた。

耳を近づけるが、何を話しているか分からない。ただ、さすが営業さんと思わせるような、よく通る平山さんらしき声が聞こえるため、この会議室で密会をしている事は分かる。

幸い怒鳴り声ではないため、想像した最悪の事態にはなっていないようだ。

-来たはいいけど、ここからどうしよう。会議室を間違えたフリして扉を開けてみるか、それとも…

涼子が思案していると、ガチャリと会議室の扉が開いた。

―しまった!

逃げるわけにもいかず、会議室の扉を開けた平山さんと、扉の前で立ち尽くす涼子が対面する形になってしまった。

涼子はとっさに言い訳を考えるが、何も思い浮かばず固まってしまう。

「…そこで何をしている?」

先に口を開いたのは、険しい表情の平山さんだった。

【人事部は見た!】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo