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  • 「お姉ちゃんなんだから」と言われて育った女にありがちな、悪しき習慣と悲しき恋愛傾向

    それは数日前に、塔子が手配を頼んでいた備品についての確認だった。

    「ええ、それよ。ていうか、まだやってなかったの?」

    「…すみません」

    つい、きつい言い方をしてしまうと、瑠実は俯いてしまった。塔子も慌てて謝るが、瑠実はもう一度謝りながら、そそくさと立ち去った。

    ―あー、言っちゃった。後で悪口言われるんだろうな…。

    バックオフィスのふわふわした女の子たちと、塔子のような総合職の女たちというのは、相容れない仲であり、彼女たちを敵に回さぬよう気をつけていたのに、今のは痛恨のミスだ。

    塔子は思わず、デスクで頭を抱えた。

    板尾からの理不尽な指示に加え、今日は朝から頭痛もしている。そのせいで、いつもはしないような強い言い方をしてしまったと反省する。

    塔子は、大きな溜息をひとつついて、LINEを1通送った。

    ―ごめん、頭痛がひどいから、今夜は行けなさそう…。ごめんね。―

    泣いているネコのスタンプも送信する。恭介へ、デートキャンセルの連絡だ。

    気まずいまま終わってしまった前回のデート。今日は楽しく過ごそうと思い、最近一番気に入っているグレーのスカートを選んできたというのに。

    「はぁっ…」

    頭痛がなければ瑠実にあんな態度もとらなかったし、今夜のデートだって行けたはずだ。

    そう考えると、塔子はもう一度大きな溜息をつかずにはいられなかった。



    午後、資料の修正も無事に終えて塔子が化粧直しをしていると、リズミカルなヒールの音が近づいてきた。だが、その音がふいに乱れた。

    不思議に思って音の方を見ると、そこには瑠実が気まずそうに立っている。塔子が条件反射で軽く会釈すると、瑠実は動揺を隠すように、並んで化粧直しを始めた。

    「……」

    しんとした化粧室で、メイク道具がポーチの中でカチャカチャ触れ合う音だけが響く。

    「あの…塔子さん、もしかして体調悪いんじゃないですか?」

    「え、そんなことはないけど?」

    突然瑠実に聞かれて、塔子は咄嗟にそう答える。

    「頭押さえてませんでした?あんまり、我慢しない方が良いと思いますよ?」

    いつもの耳に付くような声ではなく、それよりもワントーン低い声で言われて、不思議と塔子の調子が狂い、「実は、朝から頭痛がしていて」と本音を言ってしまった。

    「薬飲んだりしないんですか?私はいつも生理痛の時に飲んでるんですけど、頭痛の時もいいみたいですよ?」

    瑠実はそう言いながら、ポーチから『バファリンルナi』の箱をちらりと覗かせた。

    「そうなんだ。でも私、薬はあまり飲まないようにしてるの」

    アイラインを引き直す瑠実の横顔に言うと、彼女も手をとめて塔子の顔を見た。

    「どうしてそんなに我慢しちゃうんですか?痛いのを我慢して不機嫌になっちゃうよりも、良いと思いますけど…?」

    瑠実は遠慮がちに言ったかと思うと、今度はニコリと表情を一変させて続けた。

    「女が我慢するのは、ヒールを履いてる時の足の痛さだけで十分ですよ♡」

    瑠実の定番、首を斜め45度傾ける仕草で。だが、いつもはあざとさしか感じないその仕草に、塔子は不思議と好感を持ってしまった。

    ―この子、もしかして…。

    ふと、考えを巡らせる。瑠実は瑠実なりに、皆が気持ちよく仕事ができるようにと気を使っているのかもしれない。

    そういえば、瑠実が不機嫌そうな態度をとっている所を見たことがないし、いつも楽しそうに笑顔でいる。

    「気楽でいいわよね」なんて勝手に思っていたが、そんなに毎日楽しいだけの人間なんて、いるはずがない。

    「瑠実ちゃんって、逞しいわね」

    塔子が笑って言うと、瑠実はまたはにかむように笑った。なんとなく、彼女との距離が近くなった気がした。

    「お姉ちゃん気質」との上手な付き合い方


    それから数日後、大事な打ち合わせの前に、塔子はデスクの引き出しから『バファリンプレミアム』を取り出し、水で喉へと流し込んだ。

    瑠実と話したあの日。早速ドラッグストアに寄って帰り、瑠実に教えられた『バファリンルナi』を買いに行ったが、結局塔子が買ったのは、効き目が早そうな『バファリンプレミアム』

    以来、頭痛が始まったら我慢せずに『バファリンプレミアム』を飲むことにした。痛みを我慢して、会社で不機嫌な態度をとってしまうことも、デートをキャンセルすることもしなくなった。

    「なんか最近、肩の力が抜けた気がする」

    恭介にそう言われるくらい、塔子には変化が訪れていた。

    長年培った「お姉ちゃん気質」は、そう簡単には抜けないが、「無駄な我慢はしない」ことを意識するようになっただけでも、塔子にとっては大きな進歩だ。

    理不尽な上司のコントロール力はまだまだ磨かねばならないが、自分自身をコントロールすることは以前よりも上手になった。

    ―だから、きっと大丈夫。

    自然とそう思える自信が、塔子の中には芽生えていた。

    (Fin.)

    塔子が使っている『バファリンプレミアム』の詳細はこちら!



    ・バファリン プレミアム 指定第2類医薬品
    今すぐなんとかしたい、つらい頭痛や熱に。

    ・バファリン ルナi 指定第2類医薬品
    速く治したい、生理痛・頭痛に。

    ※これらの医薬品は、「使用上の注意」をよく読んでお使いください。アレルギー体質の方は、必ず薬剤師、登録販売者にご相談ください。

    ■衣装協力:P1 ワンピース¥33,000(ローズティアラ/JUNIOR052-482-1161)イヤリング¥12,500 ツートーンブレスレット※2本セット¥3,500 ビジューブレスレット¥5,834(すべてアビステ03-3401-7124)靴¥6,900(RANDA06-6451-1248)P2右/イヤング¥12,639ブレスレット¥4,250(ともにアビステ03-3401-7124)その他スタイリスト私物 左/ブラウス¥17,000(ローズティアラ/JUNIOR052-482-1161)
    イヤリング¥23,500 ブレスレット¥7,250(ともにアビステ03-3401-7124) 靴¥1.990(LUCCA LLENA06-6451-1248)スカートはスタイリスト私物 P3 リング¥10,000(アビステ03-3401-7124) カーディガンはスタイリスト私物

    バファリンPC

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