サラリーマン会計士・隆一の迷い Vol.9

「悲劇は予告なしに訪れる」順風満帆と思われた経営者に迫る、無情な仕打ち

難関資格の筆頭格である、公認会計士。

―高収入、堅実、転勤なし。

そんな好条件を難なくクリアする”勝ち組”であり、東京の婚活市場においても人気が高い職業の一つである。

しかし彼らにも、悩みはある。

サラリーマン会計士から、念願の独立開業を果たした隆一は、大学時代の友人、神宮と手を組み共同経営という形で事務所経営を軌道に乗せることに成功した。

その一方、ユキは隆一との将来に不安を覚え、保険として複数の男性と接触し始める。

成功し始め浮足立つ彼氏に、業を煮やしたユキが結婚を迫るのだが、隆一は返答に窮してしまう。ユキは、泣き出しその場から去ってしまったのであった。


少しずつ崩れる歯車


神宮と組んでから、経営はすこぶる順調だ。取引先を次々と獲得し、急成長中である。

共同経営者という形ではあるが、別個の部署を設け、お互いあまり干渉せずに活動をすることが多くなった。

神宮はメディアでインタビューに掲載される形で顔を広く売っている。一方の僕は、専門書や経済誌への執筆といった業務を中心に、事務所の存在をアピールするスタイルを取っている。

業種に特化したサービスを打ち出し、徹底的にメディアに露出するという神宮の方針が功を奏した形だ。個人的にはあまり好きなやり方ではないが、結果が出ている以上、口出しはできないというのが本音である。

唯一の気がかりと言えば、ユキのことだ。

約1ヵ月前、泣き出して店を飛び出してから連絡を取っていない。当然、結婚のことは考えているが、いまは経営に専念したいというのが本心だ。

ユキは自分の気持ちを理解してくれているのかと思っていたので、残念だった。そんなこともあって、あの時追いかける気が起きなかったのである。

―しばらく、距離を置いた方がいいな。

そう決め込み、仕事に邁進することを心に決めたのであった。

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