恋愛中毒 Vol.11

恋愛中毒:「裕福な生活なんか、いらない。」恋に狂った人妻を現実に引き戻した、衝撃の事実

「冷めても、美味しいよ」


「僕がその気になったら、彼は最悪仕事を失うよ?そしたら菜月は、彼と一緒になれたとしても、みすぼらしい生活を送ることになるだろうね。そんな事態になったら、僕だって胸が痛いなぁ」

「そんなこと......」

夫に自分の意志の強さを理解してもらうべく、意を決して話し合いに臨んだものの、菜月の立場は想像以上に弱かった。

よくよく考えてみれば、“達也のことが好きになってしまった”という感情以外に、夫に立ち向かうための武器はないのだ。

菜月は返す言葉も見当たらず、食卓越しにピリピリした気まずい沈黙が流れる。

「...だから、この話はそろそろやめにしよう。誰の得にもならないよ。あと悪いけど、君の携帯電話はしばらく使えないように手配するからね。いい加減、頭を冷やしなさい」

宗一の冷静な口調は、まるで小さな娘を躾ける父親のようだ。

―もう、愛せない...。

菜月は敗北感に打ちひしがれながらも、夫への反発心は益々強くなる気がした。

「ほら、菜月も食べなよ。冷めても美味しいよ」

しかし宗一は、デパートの総菜を黙々と食べながら、ポツリとそう言い放った。


宗一の言った通り、菜月のスマホは翌日から使えなくなってしまった。

話し合いのあと、夫の目を盗んで夜中に達也にこの状況を簡単にLINEで伝えはしたが、返信はないままだ。

「達也くん、菜月です...」

家の電話を使うのも躊躇われたため、夫が出勤した後に公衆電話を求めて近......


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