これぞ六本木一の隠れ家!まるで洞窟のような空間で極上寿司を召し上がれ!

東京一艷やかな街が六本木。遊び慣れた女性や男性が主戦場とする繁華街だが、真の人気のスポットは綺羅びやかなレストランでなく、人知れず佇む隠れ家レストランだったりする。

今年誕生した『鮨よしい』がまさにそれ。住所を知っていても店前を素通りしてしまうほど、見つけづらい外観に真っ暗闇の内観。

そして暗闇が実現する心理的効果はいわずもがな。こんなロケーションで極上鮨をふたりで食べれば、その恋はきっとうまくいくはずだ。


ここに六本木の喧騒は届かない。闇夜で極上寿司という新体験
『鮨よしい』

古き良き時代の、六本木のランドマーク『アマンド』。このデート待ち合わせの名所の左脇から朝日神社を経て、麻布十番方面へと下る坂道が、芋洗坂。

一説によれば、その名は、江戸時代、先の朝日神社の前に毎朝市が立ち、近在で採れた芋が売られていたことに由来するとか。

現在では、飲み屋やレストラン、おしゃれなカフェなどが立ち並ぶ雑多な雰囲気のこの坂も、朝日神社の辺りまで降りてくると、人通りもやや落ちつきを見せ始める。

その朝日神社の斜め向かいに建つ瀟洒なビルの一階に、人知れずオープンしたのが『鮨 よしい』。現代アートギャラリー「ヒロミヨシイ」のオーナー兼ディレクター吉井仁実氏が手がけたコンセプチュアルな鮨店だ。

本マグロの大トロ。取材時はアイルランド産だが、秋が深まる共に大間のマグロも。口中でとろける


路面店にもかかわらず、それと知らなければ、通り過ぎてしまうほど目たたぬ佇まい。白い暖簾をくぐり、店の中に一歩足を踏み入れれば、外界の喧騒を遮断するかのような漆黒の闇に引き込まれる。

仄かに灯る蝋燭の炎を頼りに細い通路を進み、にじり口を思わせる入り口を入れば、そこは静謐な侘び寂びの空間――。無機質な墨色の壁は漆喰。薄明かりの中に浮かぶは、建築現場の足場板をアップサイクルしたカウンターに檜の柾目のまな板のみだ。

この極限まで無駄を削りとり、不足の中に美を見出そうとする日本人特有の美意識を、ひとつの小宇宙の如き店内で見事に表現したのは、数々の賞を受賞している世界的に有名な建築家の谷尻 誠氏と吉田 愛氏。

まるで異次元の世界に紛れ込んだかのような高揚感には、レストランに行き慣れた女性もきっと胸を躍らせるに違いない。

宮城県は松島の穴子。これからの季節、サバやサンマ、カツオなど旬の魚が楽しみだ


「江戸前寿司の原点である(江戸時代の)屋台がコンセプトなんです」とは、店長の矢部裕二さん。この道一筋30数年、あの銀座『久兵衛』をはじめ、数多の寿司店で研鑽を積んだベテランの寿司職人だ。

矢部さんによれば、この暗さも「昔、屋台で、蝋燭の灯りの下で寿司を食べていた頃をイメージしたもの」なのだとか。寿司の有り様も然り。

北海道産バフンウニは軍艦巻きで。日本酒は、山梨の七賢がメイン。1合¥1,500~¥2,000


江戸時代の寿司に倣い酢飯には赤酢を用い、ネタもヒラメの昆布締めに煮ダコ、コハダ等々、ひと手間かけたものが主眼。昔ながらの仕事を守り続けることで、酢飯とのバランスを図り、魚介本来の風味を引きだしている。

ちなみに同店は、一日6人のみの完全予約制。しかも、紹介制とかなりの狭き門となっている。だが、今回は特別に『東京カレンダー』の読者のみ予約が可能に。本誌見てと一言添えて予約を。

江戸前寿司の華とも言えるコハダ。塩と酢で締め、寿司に握ることで旨味が最大限に引き出される、まさに江戸前寿司のための魚と言ってもいいだろう。

トコブシ煮はつまみの一品。おまかせのコースは、このトコブシ煮の他、枝豆のすり流しやサラダなど前菜3品(内容は替わる)、お刺身4種、握り12貫で¥16,000(税サ別)。

天草産車海老の握り。シャリに使う米は、福島のコシヒカリ。

アオリイカの握り。食べやすいよう、鹿の子に切れ目を入れるひと手間もベテランならでは。

カウンター同様の足場板を敷いたエントランス。暖簾をくぐってすぐ入店させず、あえて通路を設けることで、期待感を高める。外の喧騒をシャットアウトする効果も。

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