注文の多い女たち Vol.8

婚活は先手必勝。あれこれ注文つけてる間に、結婚向きの男はあっさり奪われる

「最近、良い出会いがない」

未婚・美人の女性に限って、口を揃えて言う言葉である。

しかしよくよく話を聞いてみると、その言葉の真意はこうだ。

「理想通りの、素敵な男性がいない」

フリーランスでバイヤーをしている亜希(32)も、そんな注文の多い女のひとり。

ふさわしい人」を探して迷走する中、亜希に一目惚れしたという男・宮田賢治とデートをするも、「海外志向がない」という一点だけで幻滅してしまう。

−そもそも彼には、ときめかない。

そう結論づける亜希だった。


青天の霹靂


「ここ、来てみたかったんです〜♡」

土曜日の午後、亜希は広告代理店時代の後輩マミちゃん(26歳)に呼び出され『ザ・カフェ by アマン』で待ち合わせた。

会うのはマミちゃんの結婚式以来だが、新婚の彼女はいつも以上に肌が艶々としている。身体中の細胞が「幸せ」と叫んでいるようで、亜希はその眩さにくらくらと目眩がした。

−結婚、かぁ...。

今の亜希にとって、結婚などという行為は異次元に思える。

愛し愛され、お互いに生涯を共にするたった一人のパートナーとして認め合う。そんな奇跡のような出来事が、亜希以外の女性には起こり得ていることがむしろ不思議である。

結婚は、したい。だけど、誰にもときめかない。亜希の心を鷲掴みにする男性が現れないのだから、どうしようもないのだ。

マミちゃんを通じてデートに誘われた宮田賢治も、「爽やかで良いかも」なんて思ったのも束の間、語学ができないことが発覚して頭の中の採点機は40点台まで急降下。

初デートのあと何度か食事に誘われたが、仕事も忙しいし、貴重なプライベートの時間を彼に割こうという気になれないまま、1ヶ月以上が経過していた。

不毛に終わった賢治とのデートを思い出していると、マミちゃんが亜希を覗き込むような仕草をして、遠慮がちに口を開いた。

「そういえば...宮田さん、彼女できたって知ってました?」

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