寿退社したものの Vol.6

寿退社したものの:あの蜜月はどこへやら…。食い違う、夫の言い分と妻の言い分

結婚したら、寿退社♡

一昔前まで、それは女性の人生における最初の小さなゴールだった。

家庭に入り、料理の腕を磨き、夫の帰りを待つ。

だが、2017年の東京で「専業主婦」は、本当に憧れるべき存在だろうか?

結婚したら、母親と同じように専業主婦になることに疑いを持っていなかった志穂。だが、家事・育児をまったく手伝わない夫・康介に不満を募らせていた。

自立しようと仕事復帰を試み、ついに復職するのだが…。


夫の信じられない言動


「ちょっと、何これ…。」

慣れない仕事で疲弊した体にムチを打つようにして、やっとひなを寝かしつけた志穂は怒りに肩を震わせていた。

原因は、夫がシャワーに入っている時になんとなく見えてしまった、彼のLINEトーク。

ー康介も大変だね。ちゃんと養ってあげてるのに…。ヒステリックな奥さんのケア、頑張れ!また気晴らしに飲みにいこ〜!

ヒステリックな奥さん、という部分までポップアップで表示されていたため、思わず無断でメッセージを読んでしまったのだ。

杉ちゃんという差出人はどうやら女性で、メッセージを読んでいる限りただの同僚のようだが、どちらにせよ心証は良くない。

恐らく大人数の飲み会で、康介が志穂に対する愚痴でもこぼしたのだろう。

それにしても、「ヒステリックな妻」とは酷すぎるではないか。

いくら喧嘩をしていたからといって、自分の妻の悪口を他の女性に打ち明けているという事実が志穂には信じられない。

自分はこんな風に、夫やその同僚に揶揄の対象にされるほど、みっともない生き方をしていたのだろうか。

専業主婦で養われている女は感情をあらわにしてはいけない、とでも言いたげなコメント。

それを平気で寄こす「杉ちゃん」という女に対しても、ハッキリとした憎しみの感情が生まれてくるのを、志穂は感じていた。

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