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  • たった1人の女 Vol.4

    たった1人の女:何度もの「偶然の再会」を果たす男と女。ただの偶然か、それとも運命か?

    仕事を終えた、火曜日の20時。いつものようにランニングマシンで10kmを走り終えて汗を拭っている時、見覚えのある顔を捉えて和哉の動きが止まった。

    由衣もすぐに和哉に気づき、どちらからともなく軽く会釈する。

    「すごい、偶然ですね。ワインオークションの時以来かな…?」

    互いにそう言い合い、再会を懐かしんだ。

    和哉が42歳になった今、5歳年下の由衣は37歳。昔のように弾けるような若さがないのは当然だが、今の由衣には大人の女性らしいしっとりとした艶やかさが加わっていた。

    それからは月に1回ほどの頻度で、ジムで顔を合わせるようになったが、毎回軽く挨拶を交わす程度の距離感を保っていた。



    「和哉、そんな偶然ないって。それ絶対運命だから、とにかく一度食事に行けよ」

    仲間たちで集まり、いつものように西麻布の会員制バーで飲んでいる時に由衣の話をすると、結婚しない主義の雅基が興奮気味に言った。

    だが、和哉は無言で首を横に振る。

    実は和哉は、ワインオークションで再会した後も、何度か由衣を見かけたことがあった。

    それは、女友達と楽しそうに六本木ヒルズを歩いていたり、表参道で男性に腕を絡めて歩く由衣だ。最後に見かけたのは、銀座の歩行者天国を歩いている姿。その時彼女の隣には、ベビーカーを押す男性がいた。

    「彼女は結婚してるよ」

    初めて会った食事会から、13年という月日が経っている。お互いの状況が大きく変わっているのも当然だ。

    ―それに運命があるなら、その相手は麗香のはずだったんだ…。

    今さら麗香への未練なんてないが、やはり彼女だけは特別な存在。もし運命があるのなら、その相手は麗香しかいない。

    ―ただ、運命の相手と結ばれないこともあるだけだ。

    何度となく自分に言い聞かせてきた言葉を、和哉は久しぶりに胸の中で唱えた。



    「最近よく会うね。お子さんは大丈夫なの?」

    ジムでいつもより早い時間に由衣と顔を合わせ、何気なく和哉が聞いた時。由衣から不思議そうな目をむけられた。

    「お子さんって?」

    「いや、お子さんいるんでしょう?実は僕一度、銀座で由衣ちゃんがご家族と一緒に歩いてるのを、見たことがあるんだ」

    和哉の言葉に、由衣はまだ不思議そうな顔をしている。

    「確かに結婚はしてたけど、今はバツイチだし子どもはいないわよ?」

    顔を見合わせて互いに首を傾げていると、由衣が「あ、もしかして!」と笑いはじめた。

    「きっとそれ、姪っ子だわ。お義姉さんが2人目を妊娠してる時に、何度かお義姉さんの代わりで買い物に付き合ったから」

    この会話がきっかけとなり、今までは他人行儀だった空気が少しだけ和らぎ、「良かったら、このあと1杯どうですか?」と由衣から誘われた。

    和哉もなんとなく同じことを考えていたこともあり、快諾してすぐにダイナースクラブ ごひいき予約で銀座のレストランをおさえた。

    「そんな人気店、どうして予約が取れるの?」と驚く由衣にダイナースクラブ ごひいき予約のシステムを紹介すると、彼女は感動したように喜んだ。


    食事を終えて、ダイナースクラブカード特典でウェルカムドリンクをサービスしてもらえるバーへ移動し、2杯目のカクテルを飲み始めた頃。

    カウンターで揺れるキャンドルを見つめながら、由衣が言った。

    「何度目の偶然から、人はそれを運命と言うのかしら」

    「え、どういうこと?」

    「私たち、こんなに偶然が重なるなんて、まるで運命の相手みたいだなって思って」

    由衣は、冗談を言った後のように笑った。

    「最初の食事会にもいた、雅基って覚えてるかな?あいつはもともと結婚しない主義だったのに、ある1人の女性の影響で、結婚したいと思うようになったんだ。でも結局振られた。『すべてが遅い』と言われてね。

    でも、雅基は往生際が悪かったんだ、とても。彼女はCAだから、2人は飛行機の中で出会ったんだけど、その時と同じ状況を作って最初からやり直そうとしたんだ」

    「え、すごい。それで、結果は?」

    由衣に聞かれて、和哉は無言で首を横に振る。

    「僕は、雅基の行動力にはいつも驚かされるよ」

    和哉は言いながら、麗香の顔を思い浮かべた。制服姿の麗香、振り袖姿の麗香、そして花嫁姿の麗香。

    永遠に手に入らない、1人の女性。

    だが、和哉はふと考えた。そもそも自分は、本気で彼女のことを手に入れようとしてこなかったのではないかと。

    1年後・・・


    由衣との度重なる再会が「運命」というものだったのか、今の和哉にもわからない。

    ただ、確実なことが2つある。

    ひとつは、麗香の呪縛から和哉を解き放ってくれたのは、間違いなく由衣であること。今、和哉の隣には由衣がいて、共に穏やかな日々を過ごしている。

    そしてもうひとつは、「運命」なんていうものは今の自分が過去を振り返った時に決めるべきだということ。

    これから紡ぐ由衣との未来で、これまでの出来事はただの偶然にもなるし、運命にもなり得る。

    それくらい、人生とは不確実で脆い。だが同時に自由でもあると、和哉はようやく知ったのだった。

    (Fin)

    和哉が由衣と再会した恵比寿のジムをはじめ、全国のコナミスポーツクラブで受けられる特典もある、ダイナースクラブカードの詳細はこちら!

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