赤坂の夜は更けて Vol.12

“孤独”に慣れ過ぎたバツイチ男が、結婚を決意した理由

夜更けの赤坂で、男はいつも考える。

大切なものができると、なぜこんなに怖くなるのだろう。

僕はいつも同じところで立ち止まり、苦しみ、前を向こうとして、またつまずく。

41歳、テレビ局のプロデューサーである井上は、ひとりの女と出会う。

ある夜、井上が女友達の静香に介抱されている姿を、ハナに見られてしまう。



「珍しいわね、あなたが酔っぱらうなんて」


マンションに着くと、静香は冷蔵庫からミネラルウォターを出してくれた。

日曜の夜、『ノマドグリル・ラウンジ』で飲んでいたら、井上はすっかり酔っぱらってしまった。大の大人がこんな風になるなんて、全く情けない。

ここまで酔いが回るのは、昔からの友人である静香と一緒だからだろう。

「じゃあ、私帰るわね」

静香は鞄を持ち、去ろうとした。

「え?もう帰るの?」

井上は思わず、そう聞いてしまった。

今さら下心がある訳ではないのだが、酔いが醒めて行くうちに、何とも心もとない気持ちになってしまったのだ。

すると静香は井上の手をとり、こう囁いた。

「マンションの下で、私たちをずっと見ている女の子がいたわ」
「……え?」
「あなたの知り合いかしら」

彼女はそれだけ言ってにっこり微笑み、井上の部屋から颯爽と出て行った。

静香のその言葉を聞き、井上は呆然と立ちすくんだ。


―ハナが、来てたのか?

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