
重い、寒い、暑い…。3文字だけで会話するわがままな女と、律儀に答える男
夜更けの赤坂で、男はいつも考える。
大切なものができると、なぜこんなに怖くなるのだろう。
僕はいつも同じところで立ち止まり、苦しみ、前を向こうとして、またつまずく。
41歳、テレビ局のプロデューサーである井上は、ひとりの女と出会う。
彼女の名前はハナ、29歳。ひと回りも年下の女だった。
ハナの友だち・葵に、ハナには一緒に住んでいる彼氏がいると知らされた井上。井上の反応は?
「ハナには、一緒に住んでいる彼氏がいますから」
『バー ティアレ』で、ハナの友人・葵が突然発した言葉は、井上にとって正直想定外だった。
想定外、というよりも不意を突かれた感じだろうか。しかし井上は、咄嗟にこう返した。
「知ってるよ」
井上の動揺は悟られなかった......
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