呼ぶ方にも、呼ばれる方にもお作法があるホームパーティー。
人格やマナーが試される場でもあるが、その正解を知らぬ者も多い。
都内の様々な会に参加し、その累計回数は約100回にものぼる29歳の沙耶加が、多角的な視点でホームパーティーを評論してゆく。
「おもてなし」のお作法
あらためて考えると、ホームパーティーとは不思議な会である。
気の合う友人、もしくは全く知らない者同士がプライベートな空間に集い、宴を楽しむ。
そこに参加している人たちの目的は千差万別で、ビジネス目的の人もいれば、恋の出会いを求めて参加する人もいる。
一見、爽やかで楽しい時間が流れているように見えるが、主催者側の思惑と、ゲスト側の計算が見え隠れしている場合も、少なからずある。
◆
「いらっしゃい。」
朗らかな笑顔で迎え入れてくれた今日の家主・須藤徹36歳。数年前に証券会社から独立し、現在は経営コンサルタントとして活躍している。
実年齢より若く見えるのは、カモシカのような脚が見えるハーフ丈のパンツに麻のシャツという、カジュアルな装いのせいだろうか。
部屋へ一歩足を踏み入れると、ふんわりとシトラス系のアロマの香りに包まれる。綺麗に整えられた部屋はシンプルモダンな内装で、家主のセンスが垣間見えた。
「何か、飲みたい物ある?一応ワインとシャンパン、あとソフトドリンク系ならお水とオレンジジュースがあるよ。」
家主自らが扉を開け、出迎える。そして自らが動き回る。
一見当たり前のように感じるこの光景だが、すべての家主にホスピタリティスキルが備わっているとは、限らない。
須藤の行動を見ながらふと、前回出くわした“動かぬ家主”を思い出した。
この記事へのコメント
コメントはまだありません。