東京から恋が消える日 Vol.2

東京から恋が消える日:恋なんて、仕事の邪魔でしょ?自ら恋を切り捨てる30歳女の心

恋をしない男女が増えている。

それは、決して感覚値ではない。

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、18歳から34歳の独身男性約7割、独身女性約6割に交際相手がいないという。

しかし今や、デーティングアプリなどでも異性と簡単に出会える時代。

何もかもが揃った、2017年の東京。

いや、何もかもが揃ってしまったからこそ、人は、恋に落ちなくなったのかもしれない。

東京から、恋が消えかかっている。

東京から恋が消える日も、遠くない。


「中目黒で飲んでるけどアユミ来ない?久々に話したい。」

木曜日の25時、LINEのトーク覧の一番上に表示されたヒロヤの名前と内容を確認する。

心を落ち着かせるかのように、ティファールの湯沸かし器をセットする。ケメックスを戸棚から出しコーヒーの粉を入れると、腰まで届く栗色のロングヘアをぎゅっとポニーテールにし直し、MacBookを開き、独り言を言う。

「よし、もう1案。」

美大を出て、小さなデザイン事務所でデザイナーとして、私のキャリアはスタートした。パンフレットやカタログのデザイン制作。昔から根が真面目だった性格もあり、一つ一つの仕事には丁寧に向き合った。

3年目になり、大手広告代理店と仕事をする制作会社に籍を移すと、私の生活は一変した。次々と降ってくる、大きなクライアントの案件。

求められるのは、とにかくスピード。「何時頃にできますか?」の電話の嵐。夜に寝るという概念はなくなり、週に3日は朝まで仕事をした。

【東京から恋が消える日】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo