東京の恋愛観は、窮屈だ。
“適齢期”になると恋愛から結婚へシフトチェンジし、まるで義務かのように婚活に励む女性たち。
そんな、型にはまった生き方を望む女性たちに、フランス留学経験がある杉山小雪(33歳)と日仏ハーフの夫・トム(26歳)は、強い違和感を覚えていた。
恋愛も結婚も、もっと多様性があって良いはずだ―。
画一的な恋愛観に縛られている東京の女性たちへ、恋愛先進国・フランスの価値観をお届けしよう。
<今週のお悩み女子>
氏名:樹里
年齢:29歳
職業:大手旅行代理店 企画職
住居:目黒
ステータス:交際3カ月
「結婚って、しなくちゃいけませんか?」
樹里にすがるような目で尋ねられ、小雪はかける言葉を失っていた―。
土曜の昼下がり、六本木ヒルズのエストネーションで夫婦水入らずのショッピングを楽しんでいた小雪とトム。同じヒルズ内の『エッグセレント』に来るようにと、突然小雪の後輩・樹里から呼び出された。
悩みがあるといっていた樹里の相談内容は、3カ月前から付き合っている彼氏のことだった。
食事会で出会った、大手不動産会社勤務の彼。優しくて頼りがいがあり、尊敬できる相手なのだと、樹里は頬を赤らめて嬉しそうにのろける。しかし、すぐに表情を曇らせた。
「ただ、問題はここからで…。おそらく来月、私の誕生日に、プロポーズされると思うんです」
自信たっぷりに言い切る。
エッグベネディクトをむしゃむしゃ食べるトムのことは気にも留めず、彼女はさらにこう続けた。
「彼のことは大切だし、彼の望みも叶えてあげたいとは思うんです。でも…」
うつむいて深いため息をつくと、樹理は言いにくそうに口ごもってしまった。
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