それも1つのLOVE Vol.2

それも1つのLOVE:男の本能を巧みに刺激する、小悪魔系美女と過ごした特別な夜

恋人という存在が、2017年現代の東京では、曖昧になってきている。

その人とオフィシャルな関係になる気がなくとも、その人に「彼氏・彼女」ができると、少しだけ胸が苦しくなる。

決して都合の良い関係ではない。だが、人生をかけて愛したいというのも違う。

多様化した愛の形が、今、顕在化してきている。

愛してるとは違うけど、愛していないとも言えない。

あなたの身にも、覚えはないだろうか?

そう、それもまた1つのLOVEである。

女性誌でライターをしている奈々(27歳)は、高校時代に淡い恋心を抱いていた翔平と渋谷で偶然再会する。だが彼の隣には、インスタグラムに公開されている煌びやかな私生活で、同年代の女性からの羨望と嫉妬を集める美女・美玲がいた。

翔平と美鈴の関係とは?


友達でも恋人でもない、だけど特別な関係


「翔平さん、誕生日は美玲様と過ごしたらしいじゃないですか。」

仕事終わりに合流した丸の内ブリックスクエアの『Baru&Bistro*musicQ“mood board”』で、慶應義塾大学時代のゼミ仲間で、翔平が勤める総合商社の同期でもあるあきらが、着席するなりニヤニヤした表情を浮かべて肩を叩く。

「…お前、何で知ってるんだよ。」

わざとため息交じりに抗議するが、昼間、あきらから「飲み行くぞ」と社内メールが届いた時点で誰かに聞いたな、と思っていた。

大学ゼミ仲間たちの動向は、卒業して5年経った今も、どこからともなく耳に入ってくる。隠し事などできやしないのだ。

「…で、どうだった?」

「何がだよ?」

あきらは、幼稚舎出身という育ちの良さを感じさせる、綺麗に揃った白い歯を見せながら翔平を覗き込む。顔を背けて誤魔化すが、彼が聞きたいことは、もちろんわかっている。

翔平が美玲と寝たのかどうか、だ。

「…あるわけないだろ。」

どうせ隠し切れないからと、諦めて白状する翔平に、あきらはあからさまに見下した表情を浮かべて詰め寄る。

「はぁ?!お前、ほんっとダメだな。」

「うるさいな。美玲とは、そういう関係じゃないんだよ。」

肩に置かれたあきらの腕を払いのけながら、ムッとして答える。気の置けない付き合いだからこそ、あきらはやたらと翔平の恋愛に口を出してくる。それが時として鬱陶しい。

「じゃあ、どういう関係なんだよ。」

あきらの怯まぬ追及に、翔平は言葉を詰まらせる。

美玲は、あきらと同じく大学ゼミ仲間だ。しかしただの友達…ではない、と思う。

“友達でも恋人でもない、だけど特別な関係”

翔平と美玲の関係は、掴めそうで届かない、限りなく近いのに重なることは決してない。そんなもどかしい距離感で、長年続いている―。

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