マウンティングの虚像 Vol.2

マウンティングの虚像: 赤裸々に教えます。女たちの、SNSマウンティング”匠の技”

私の方が、あなたよりもずっと格上


「麻耶もついに行ったんだね〜!大将に握ってもった?」

ーうっ…。

さすがカリナだ。細かい所をつっこんでくる。しかし、それが一体何なのだろう。『鮨さいとう』『鮨さいとう』ではないか。名店に変わりはない。

しかも、手元とわずかに映り込んだ白衣の様子からそんな違いを察知するなんて…。

そして、そんな細かな違いを利用して、せっかくの高揚した気分に水を差してくるカリナのマウンティング技術は、もはや匠の技とも言える。

「ついに行ったんだね」という言葉のチョイスも「私は随分前から通ってるけど」という意味合いを示唆しているようで実にモヤモヤしてしまう。

カリナはいつだってこんな調子だ。SNSで麻耶が何か投稿しようものなら、必ずコメントに自分の話題を被せてくる。

美容と健康の為に『ELLE Cafe』のジュースクレンズプログラムで、ダイエットに挑戦中!と麻耶が投稿すれば、

「え〜ダイエットとか無理ー!私いっぱい食べなきゃ死んじゃうから〜」とコメント。

その後当てつけなのか、焼肉に行った写真とスタイルの良さが強調されたコーデ写真を連続でアップする。

自分はダイエットなんて必要ないと示したいのだろうが、そこまでする必要ってあるか?と首を傾げたのを覚えている。

最初の方は偶然かも、とカリナのコメントを気にしていなかった麻耶も、さすがにここまでくると相手の異様なまでのマウンティング気質に気付かざるを得ない。

きっと、カリナは全身全霊で自分の方が麻耶よりも上だと示したいのだろう。

面倒臭さを隠しきれず、ふて腐れながら階下に降りると、飼い犬のミルクが勢い良く麻耶のもとに走ってきた。潤んだ瞳が愛らしいチワワだ。だが、むやみに手を出すと噛みついてくることもあるので注意している。

ミルクは明らかに麻耶を自分より下だと思っているため、急に撫でたりすると割と本気で噛んでくるのだ。噛まれると、流血するほど痛い。

この家で、ミルクにとって一番偉いのは母。続いてミルク・麻耶・父・嫁に行き家を出た姉というように、明らかな序列が確立されている。

カリナも、ミルクみたいに自分の立ち位置を決めないと精神が安定しないのかな…と哀れむことで、ふさぎこんだ気分をやっと回復させることができた。

今の時代は、見栄を張らず、フランス人のように自然体でいるのがトレンドだというのは麻耶にも分かっている。

分かってはいるけれど、一体どれほどの人がそんな風に颯爽と生きていけるのだろう。嫌われることや誰からも認められないことを恐れず、ありのままの自分でいられるんだろう。

だから麻耶は、ひとまずSNSに対する姿勢を再考することにした。リアルな友達から、嫌われずに一目置いてもらうためには、新しい投稿テクニックが必要だ。

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