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  • 好きな人の結婚式なんて耐えられない。疲弊した女心が、嫌いな男に救われた理由

    叶わなかった恋。

    そんな恋ほど、いつまでも消化不良のまま心の奥でくすぶり続けるもの。

    大手町にあるメガバンクで一般職として働く美緒(26歳)は、複雑な想いで同期の結婚式に参列していた。

    美緒はどうやって、この想いを断ち切るのだろうか……?


    彼の隣でウエディングドレスを着るのは、私でいたかった


    「結婚おめでとう!」

    皆で口々に祝いの言葉を伝えると、新婦から満面の笑みで「ありがとう」と言われた。その顔を見て、美緒の心の奥深くがぎゅっと痛んだ。

    ひな段に座る新郎・直哉と新婦・香奈の後ろに、同期の皆で並び写真を撮ってもらう。

    ―おめでとうなんて、思えない……。

    ちゃんと祝わなければいけないことはわかっているのに、自分の奥深くの醜い部分が祝福する心を阻んでいる。それに気付かないフリをするのも限界に来ていた。

    美緒は今日、同期の結婚式に参列するため帝国ホテルを訪れていた。

    直哉と香奈はどちらも同期。彼らは、同期の中で1番にゴールインとなったため、美緒たちの祝福にも力が入った。

    同期の一人はスピーチを読み、その他の男性たちは胴上げし、女性たちは直哉をセンターに置いて、去年のドラマで話題になったダンスを踊った。その甲斐あってか披露宴は大いに盛り上がり、泣いたり笑ったりと忙しかった。

    そんな中で美緒は、顔では笑いながらもずっとずっと泣いていた。もうずっと前から覚悟していたことなのに、やはり二人を前にすると封印していたはずの密かな想いが顔を出す。

    ―こんな気持ちも、もう今日で最後にする。

    自分に言い聞かせながら、無心でダンスを踊った。一番前で踊る、直哉の背中は見ないようにして、とにかく踊った。

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