上京10年目 Vol.2

ふり返ることさえしなかった故郷が、今は死ぬほど恋しい。上京10年目、帰る場所を見失った女

―東京にいる意味って、何だろう―。

仕事のため、夢のため、欲望のため……?

上京10年となる節目の年に、人はあらためて問う。

自分が東京にいる意味と、その答えを。

28歳の朝子もその一人。朝子が抱える東京への固執と葛藤は、どこに着地するのだろうか。

大学入学に合わせて上京した朝子だが、このまま東京にいていいのかという迷いが芽生え、東京と故郷の間で気持ちが揺れ始める。


自分が目標にしていたところに、届いていないという現実。

近いところにはいる。惜しいところにはいる。

福岡からでてきた、何も持っていなかった18歳の女の子にしては、十分頑張っているのかもしれない。

でも、それでも……。

あの日、私が望んでいた場所にはいない。その事実が余計に私を焦らせるんだ。

―こんなんでいいの?
―こんなんじゃダメだ。
―でも、十分頑張ったよね……?



月曜の朝、出勤中の副都心線の中で、私はひとり浮かれていた。

昨夜、沙羅に呼ばれて駆けつけた食事会。そこで知り合った良太くんとのLINEが、私の心を躍らせた。

急遽参加した食事会は、思っていた以上に盛り上がり、日曜の夜ということも忘れて楽しんだ。

結局、代官山の自宅に戻ったのは23時過ぎ。いつもであれば翌日にそなえて、ベッドに入っていてもおかしくない時間。

家に帰ると急いでシャワーを浴びて、すぐにベッドにもぐりこんだものの、やっぱり睡眠不足。それでも、気分爽快なのは食事会が楽しかった証拠。

突然の誘いだったのが良かったのか、私も変に構えずに、まるで大学時代の同級生に会うようなノリで参加した。

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