婚活は、ワインスクールで Vol.2

既婚女性は一枚上手。一流の男たちを捉えて離さない、26歳人妻の実力

クラス会で見えてくる、人間の本質


「うーん、美咲ちゃんはいわゆるキャリアウーマンって感じやねえ。私なんて、勉強嫌いやから英語はハローしか話せんわ。」

芹那はそう言って男性陣の笑いを誘う。

「それより、弁護士の先生ってことは、めっちゃ頭いいですよね。万が一主人と揉めたときは先生にお願いしちゃおうかなあ。先生素敵やしなあ。」

真面目そうな弁護士は芹那のお世辞を真に受けて、顔を赤くして照れている。

「芹那ちゃんって面白いなあ。」

さっきまで美咲に関心を寄せていたはずの飲食店経営者も、芹那のほうに向き直って目を輝かせている。

気がつくとその場は芹那の独壇場と化しており、男性陣は芹那にデレデレだ。

美咲が自然にワインの話に戻したものの、その知識は全く芹那に及ばない。芹那がワインについて語れば語るほど、男性陣はうっとりと彼女の話に聞きほれるのだった。

そんな時、店の扉が開いて一人の男が駆け込んできた。

「皆さん、遅れてすみません。」


外資系投資銀行勤務の38歳、雅彦だ。仕事のため今日の授業は欠席したものの、わざわざクラス会のために駆けつけたようだ。

「ワインを選ぶ時間が無かったので、近くで適当に買ってきちゃいました。」

そう言いながら雅彦が紙袋から箱ごと取り出したのは、なんとドン・ペリニヨン。小さなどよめきが起こった。

5000円という限られた予算内でとっておきのワインを選んでくる、というルールを雅彦はすっかり無視してきたようで、これには先生も完全に苦笑いだ。

それまで自分のワインについて得意げに語っていた男性たちも、皆一斉に黙り込んでしまった。誰も雅彦にはかなわないという様子で、ばつが悪そうにしている。

—うわぁ、嫌味っぽいし、空気の読めない人なのね…。

美咲は完全に呆れてしまった。

しかし先ほどまで美咲と同じテーブルにいたはずの芹那は、そそくさと移動している。満足げに頷いている雅彦の隣をちゃっかりと陣取り、完全にドンペリ狙いのようだ。

そうして芹那が並々とグラスに注がれたドンペリの恩恵を受けている一方で、遠く離れた美咲のテーブルにボトルが回ってくる頃には、グラスにほんの2cmほどの量しか注げなかった。

ライバルではないと侮っていた芹那に、ドンペリだけならまだしも、クラスの男性もみんな持って行かれてしまうのではないだろうか。

—彼女のこと、既婚者だと思って甘く見過ぎていたかもしれない…。

そんな思いをかき消すようにグラスのドンペリを一口で飲み干したが、美咲の心は不安で一杯になっていった。


▶Next:3月12日 日曜更新予定
ドンペリ男、雅彦からの熱烈アプローチ。どうする美咲?

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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