靴と東京と私 Vol.2

靴と東京と私:幸せな結婚生活のはずが…。見えぬ夫の愛を憂うマノロ妻

いつの時代も、靴が女性を素敵な場所へと誘う。

どんな靴を履くのか。そこに女性の今後の人生に対する、強い意思が宿る。

2017年の東京を歩きゆく女たち。

彼女たちは、人生のパートナーとして、どのブランドの靴を選ぶのか。

靴と東京と私。靴なしでは、女の人生は語れない。


【マノロブラニクを履く女】

名前:美沙
年齢:31歳
職業:専業主婦
住まい:代官山
好きな店:『アイヴィープレイス』『タクボ』『クレンジングカフェ 代官山』

十人十色の幸せのカタチ


—また、今日も幸せそうな子連れ夫婦ばかり...

家から徒歩15分の所にある『アイヴィープレイス』。冬でも日差しが心地よくてお気に入りのテラス席なのに、今日は幼い子供たちの楽しそうな声だけがやたらと耳に付く。

原因は分かっている。昨夜、学生時代からの友人・エリと久しぶりにご飯を食べていた際に言われた言葉が、全身にまとわりついて離れてない。

「結婚して5年も経つのにまだ子供がいないなんて...旦那さんと上手くいってないの?早く作った方がいいよ。」

元々竹を割ったような性格のエリだが、昨日の発言はあまりにもストレートで、一瞬言葉を失ってしまった。悟られぬように愛想笑いを浮かべていたが、心の奥底をギュッと強く握り潰されたように、胸が痛かった。

「夫婦で子供はいらないね、って話してるから。エリはDINKSって言葉、知らないの?」

夫・健介は前妻との間に息子がおり、私たちの間で子供は作らないと決めていた。元来子供も好きではないし、夫婦二人で良いと思っている。

しかし何処へ行っても、結婚して5年目だと言うと二言目には“お子さんは?”と聞かれる。“作らない”と言うと、憐憫の意を含めた視線を向けられ、居場所を失う。

「DINKSって夫婦共働きで双方に収入があり、子供を作らない夫婦のことでしょ?それってお互い自立している夫婦のことで、美沙は違うじゃない。」

エリが“専業主婦の貴方がそんなセリフを言うなんて、可笑しくてたまらない”、と言わんばかりの顔をしていた。そのままエリの視線が不意に私の足元へ向けられ、シルバーのラメが輝くマノロブラニクの靴を思わず引っ込める。

エリの靴は(どこの物か分からないが)、輝きを放ってはいなかったから...

【靴と東京と私】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo