私、港区女子になれない Vol.2

高学歴って、女の人生に必要ですか?男の愛を利用して生きる、港区女子の主張

頑張った先に、幸せはあるの―?

慶應義塾大学卒業後、大手広告代理店に就職し、エリート街道をひた走る篠田涼子・29歳。欲しいものは、自分で手に入れてこそ意味がある。そう信じて努力を重ねてきた。

しかしある女との出会いをきっかけに、心に疑問が浮かぶようになる。自分で努力することなく男に頼り、男の愛を利用して生きる女、香奈。

仕事に邁進する高学歴女子と、男に頼る港区女子。

女として賢いのは、涼子か、香奈か。一体どっち?

涼子をざわつかせる、港区女子・香奈の実態とは…?


女は愛嬌さえあれば、生きていける。


「女にとって一番大切なのは、愛嬌よ。」

香奈は、そう教えられて育った。

香奈の母は元CA。偶然同じ飛行機に乗り合わせた、名古屋で代々医者を営む父に見初められたのだと、昔照れながら話してくれたのを覚えている。母は何不自由なくとても幸せそうで、男に愛される人生こそが女の幸せだと、香奈に身をもって教えてくれた。

香奈には兄が2人いる。紅一点の香奈のことを、兄たちはいつも競うように助けてくれた。

歩くのに疲れたらおぶってくれたし、重たい荷物はいつだって兄が代わりに持ってくれる。

香奈は、遅くとも小学生の頃には、男は女に頼られたい生き物なのだ、と理解していた。なぜなら、父も兄も同級生たちも、一応表面ではしかめっ面をしてみせても、「仕方ないなぁ」と隠しきれない嬉しさを滲ませて香奈のわがままを聞くから。

中学を卒業し、名古屋市内にある女子高で香奈が学んだことは、女の人生にまるで役立たない微分積分や化学式ではない。「男に愛される術」である。

香奈は、こう思っていた。

勉強して、いったい何になるの?したくもない勉強をして良い大学に入り、一流企業への切符を手にして、その先に何があるというのだろう?

香奈には、わざわざ男と一緒になって夜中まで働く高学歴女たちの考えが理解できない。男に愛され、守られて生きれば自分で稼ぐ必要などないのに。

香奈は迷いなくエスカレーターの付属女子大に進学。卒業と同時に、上京を決めた。香奈を愛し、より多くを与えてくれる男を見つけるために。

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